住んで働くヨーロッパの国々

globe W640外国に住んでいるヨーロッパ人の満足度

EU諸国間の国境が取り払われた90年代。「EU諸国の人々がどこでも生活できるようになってしまうと,南欧や東欧から生活水準の高い国々に人が押し寄せて来る」などと,ヨーロッパ自由圏に反対する声が高まっていた時期がありました。
蓋を開けてみると,たとえば失業率の高いスペインでも給与の高いドイツに移動して来る人たちはほとんどいませんでした。母国への強い愛着(執着)は,気候,食事,言葉だけではなく,住民の親切さや人懐っこさなども高い比重を占めているようです。最終的にドイツは,スペインの若者たちにドイツで仕事に就いて自立できるまでの語学研修などの奨学金や援助金を出し始めましたが,それでも母国スペインを離れる人たちは未だに限られています。
一方,数年前から様々な理由で押し寄せ始めた難民にとって,アメリカ同様,またはそれ以上のパラダイスとして理想化されているヨーロッパという姿もあります。
ヨーロッパ人が国を離れる理由は,留学などの短期滞在から,家族を伴う移民,快適な年金生活など多様ですが,実際に外国人として現地に住んでいる人たちの満足度はどうなのでしょうか?
ヨーロッパ人が評価したランキングですが,短期長期のヨーロッパ滞在を考えている日本人にとっても多少は参考になると思います。
本サイトのテーマはヨーロッパなので欧州諸国に限っていますが,世界規模で見るとドバイなどの経済ブームでご存知のように,アラブ諸国はヨーロッパ人が短期長期滞在しているトップクラスの国であると同時に,在住ヨーロッパ人の満足度が最も低い,というか不満だらけの最低評価の国々です(最低は,半分以上のヨーロッパ人が「現地人は無愛想で不親切と言いきる」クウェート,サウジアラビア,ナイジェリアなど)。ボコ・ハラムによる政情不安もありますが,付き合いの困難さ,価値観の大きな差,人間の不信感などが最大の障害になっています。現在の難民問題,テロ問題,アメリカ大統領選挙などの背景にも,キリスト教文化と回教文化との複雑な葛藤が鍵となっているのは明らかなようです。

 

地中海の国,マルタ

マルタ(1位)

地中海のマルタ島の砂

先日,友人との会話の中で「マルタって国?」と言ったら,「そんなことも知らない人がまだいるんだなぁ」という表情で笑われました。
長期短期の滞在をしている3分の2以上のヨーロッパ人がマルタの生活に満足。母国よりも給与・収入は少ないにもかかわらず,将来に向けたキャリアの展望も悪くなく,労働時間も短く,職場の環境の快適さなどで高い評価を得ています。しかし,何よりも青い海と温暖な気候に恵まれた安全性の高い環境が,住民の心を満たしているのは確かでしょう。

Luxembourg

ルクセンブルク(2位)

3ヶ国語が普通に飛び交う国

キャリアを積む向上心の高い人や給与の高い安定した職を求める高学歴の人にとって高い人気。フランス・ドイツ・ベルギーの間にある,生活水準の高い小国ですが,実はルクセンブルク生まれのルクセンブルク人は5割にも満たないといわれます。また,ワークホリカーには良き環境でも,よそ者との付き合いを好まず,愛想も全然ないに等しいルクセンブルク人に囲まれた生活は,同じ欧州人でも耐えられないほどの苦痛と感じる人たちも多いのです。

austria

オーストリア(3位)

山登りと山スキーが当たり前

よそ者に対してそれほど暖かくもなく,むずかしいドイツ語,保守的な慣習など,外国人へのバリアは高いと云われますが,その人の価値観や母国語による部分も結構あります。
北欧人や東欧人など,ドイツ語をむずかしいと思わないヨーロッパ人だけではなく,モダンな町並みよりも変わらない自然の環境を好み,遠慮がちの静かな人付き合いの方が落ち着くと感じる人たちも多いのです。
山好きやクラシック音楽ファンだけではなく,やはり緑の多い山に囲まれた環境ですから,どこに行っても空気が澄んでいます。それが理由か,健康重視の安全な生活環境で子どもを育てたいと望んでオーストリアに住んでいる外国人(?)家庭の満足度は欧州随一。

portugal

ポルトガル(4位)

年金生活者のパラダイス

余生を,安全で暖かい外国で過ごしたい,またはすでに住んでいるヨーロッパ人は増え続けています。
世界を対象とした人気度では,南中米(エクアドル,メキシコ,コスタリカ)とアジア(タイ,カンボジア,フィリピン)などが突出していますが,ヨーロッパではポルトガルが唯一の国です。
もちろん,EU28ヶ国の平均よりも2割近くも低い生活費は大きな魅力ですが,温暖な気候,外国の年金生活者に対するポルトガルの税制や健康医療の制度・環境もなくてはならない重要なポイント。一時は日本も年金生活者のポルトガルへの移住を推奨していましたが,最近はどうなっているのでしょうか。
魚介類を主とした日本人好みの食材は豊富だし,島国のような長い海岸線,そしてやや控えめな国民性など,日本人と性が合うような気がするのですが・・・