Gesundheit und Vorsorge
健康と医療

medikamenteKrankenversicherung
ドイツの健康保険

健康保険は,どのような事態になっても支払いに困らない資産を有する超裕福層を除いて,基本的にドイツ在住者(ドイツ市民および長期滞在外国人)全員の加入が義務付けられています。また,ドイツ滞在許可を取得するためには健康保険加入の証明を提示することが必要ですが,EU圏内の国民の場合は自国の健康保険がそのまま通用するのに対し,日本人の場合はドイツ国内の保険加入が通常は必要になります。
「通常は」というのは,加入健康保険が適用される医療範囲がドイツの法定健康保険以上であることが,基本的な条件として定められているのですが,ドイツ国外の健康保険の場合は適用範囲の是非の判断は,滞在許可を発行する外人局の主任の判断に任されている部分も大きいからです。しかし,日本の国民保険や旅行保険は,ほぼダメだと思われたほうがいいでしょう。

ドイツの健康保険は,大きく分けて2種類あります。
法定健康保険(Gesetzliche Krankenkasse)と民間健康保険(Private Krankenversicherung)です。

ドイツ国内の法定健康保険の加入者は7000万人強,民間健康保険は約900万人います。
ドイツの滞在許可証を取得して長期滞在する日本人の場合は,日系企業の駐在員,会社員としての就労,学生,アルバイトやワーキングホリデー,自営業,職探しや旅行の延長などで定職を持たない人,結婚などでドイツ在住者の配偶者となる人などだと思います。ドイツ企業に就職した場合およびドイツ人と結婚して配偶者の保険に入る場合は,ほぼ自動的にドイツの法定健康保険に加入することになりますが,その他の場合は,法定または民間保険の選択になるか,または民間保険しか選択技はないこともあると思います。

また,日本の健康保険と比較して,まず思い当たるのは,ドイツの健康保険では,出産時の全費用や歯の治療もかなりの部分までカバーされている点でしょうか。

どこが異なる,法定健康保険と民間健康保険?

一般的に民間保険のアポの取りやすさや治療や入院時の待遇などが強調されがちですが,次のような相違点も知っておくべきだと思います。

■  法定健康保険料は収入に従った比率で決められ,民間健康保険料は適用範囲や健康状態だけではなく年齢が特に重視された料金で設定される
■  法定健康保険の場合は,別の健康保険会社にいつでも変更することができ,保険会社も希望者の加入を拒否することができませんが,民間健康保険の場合は変更が簡単ではなく,拒否されることもある
■  法定健康保険から民間保険への変更は簡単でも,民間保険から法定保険への変更は非常にむずかしい
■  法定健康保険でカバーされる治療内容は保健に対する政権の方針で変わるが,民間健康保険は契約遵守の原則で変わることはない
■  民間保険で治療を受けると,費用をまず自己負担して,負担額を保険会社に請求後,払い戻してもらう形になる

法定健康保険 -  Gesetzliche Krankenkasse

基本的にすべての人を対象とした法定健康保険は,社会的な連帯の精神の基で公平な料金設定を行なうために収入および家族状況に応じた保険料が定められています。
月収の14.6%が健康保険料,内半額が使用者負担となりますが,月収上限(2017年度は4350ユーロ)が毎年定められます。つまり,635ユーロを上限に,収入が低いほど保険料金も少なくなります。配偶者に収入がない場合は,子供を含む扶養家族全員が1人の勤労者の保険でカバーされます。
また,多くの保険会社には年末に翌年度の値上げを予告し,毎年1%ほど健康保険料は上がります。

収入の少ない学生や自営業者には最低保険料金が設定されます。
受けられるサービス内容については,年齢,健康状態,収入などで違いは全くありません。

学生の健康保険

学生は法定健康保険または民間健康保険のいずれでも加入できますが,通常は法定健康保険の方が適しています。
また,満25才までは保護者の健康保険の下に留まることができるので無料です。25才以上になると約90ユーロ/月(子供がいない場合),30才を超えると保険料は急に高くなります。
いずれにしても学生の健康保険は格安料金が設定されています。

民間健康保険 - Private Krankenversicherung

民間健康保険に加入できるのは,公務員,自由業者,または学生です。
会社員も年収57600ユーロ以上(2017年度)であれば民間健康保険に加入することはできますが,使用者(雇用者)の負担額は上限318ユーロ(2017年度)ですので,被用者(被雇用者)が支払う健康保険料の割合は高くなります。

法定健康保険会社は申請者の加入を拒否することはできませんが,民間保険会社は,例えば加入希望者の健康状態に応じて拒否することがあり,合法です。
しかし,サービス内容が限られている基本プラン(Basistarif)および標準プラン(Standardtarif)の健康保険においては,申請者が民間健康保険に加入する権利を有している場合,民間保険会社は加入申請を拒否することはできません。
民間保険の基本プランは法定保険に相当する内容です。

法定健康保険の料金が収入に比例しているのに対し,民間健康保険の料金は年齢およびサービス内容によって異なりますので,年をかさねるに従い負担額は増えていきます。また,ひとりの加入(料金)で家族全員がカバーされる法定健康保険と異なり,配偶者も子供も,ひとりひとり個別の加入が必要となるのが民間健康保険です。
さらに,一旦民間保険に入ると,法定健康保険に戻ることはむずかしくなり,特に55才以上になってから民間保険から法定保険への変更はほぼ不可能になりますので,恵まれた(?)公務員を除き,一般の人たちは,サービス内容よりも長期の滞りない負担の保証を以って決定されることが推奨されます。

なぜ,老齢になってからの法定健康保険への変更はむずかしいのかといえば,もちろん理由があります。民間健康保険でも若くて健康な人たちには,法定健康保険よりも安い料金が提供されていることが多いのです。しかし,前述したように,民間健康保険料金は年齢をかさねると高くなっていきます。そこで,じゃぁ今度は低料金の法定健康保険に乗り換えようとする人たちが出てきても不思議ではありませんが,法定健康保険を大きく援助している国としては困ります。
つまり,若い健康なときに低料金の民間保険に入って,法定健康保険料を介した支払いを長年行っていないにもかかわらず,年を重ねてから国の援助による法定健康保険の恩恵という「いいとこ取り」をさせないためです。
民間保険に長年加入していて失業した場合も法定健康保険に戻ることはできません。

それでは,民間健康保険に長年加入して,保険料金が高くなってきて,法定健康保険にも戻れない場合,どうしたらいいのでしょうか?
同じ民間保険のサービス内容と料金体系をチェックして,料金が低く,且つ必要なサービスがカバーされている料金カテゴリーに変更することを考えましょう。
具体的には,昔よりも健康状態が良好になった場合はそれに応じた料金体系に,または自己負担額を上げることにより月額料金を低くしたり,基本料金(Basistarif)あるいは標準料金(Standardtarif)への変更の可能性を調べる。それでも高い場合は一時的な緊急加入制度を利用します。

いずれにしても,何らかの理由で健康保険料金を支払うことができなくなり,滞納した場合でも,すぐに路頭に迷うことはありませんが,ほっておくと大変ですので対策を怠らないようにします。
たとえば,生活保護の受給者の健康保険料は自治体が負担しますが,健康保険会社との連絡などは自分で行わなければなりません。