ヨーロッパの国々で求める日本食材

megamenu 1海外ではヨーロッパも含み,日本食品は,手に入れにくい,種類が少ない,値段が高い,という意見もありますが,個人的には以前と比較するとはるかに豊富な日本食品がたやすく安価に手に入るようになり,もはや日本食は贅沢でもなんでもなく毎日でも食することができるようになったと思っています。

インターネット時代の開幕で,アマゾンを筆頭とする通販市場の成長に伴い,食品のネット販売サイトも急激に増えてきました。
ヨーロッパに進出した楽天も苦戦ながら生き残っています。

日本食品の販売市場はどうなのでしょうか。ヨーロッパの都市地域に住んでいる人たちは近くの日本食品店にときどき行けるにしても,そうではなく在留邦人の少ない国や地方に住む日本人をターゲットとした日本食品オンライン市場の需要は高いと思うのですが,日本食品のネット販売をしている企業はヨーロッパ全土でもほんの数社です。
その数社ですら,専門通販サイトではなく,プロフェッショナルな印象も抱きません。

日本食品を販売しているオンラインストアーを調べるにあたり,購買方法,配送地域ごとの送料,法的規定や条件などに関する説明が不足していることが気になりました。まぁしかし最近の人たちはオンライン購入に慣れているので問題はないのかも知れません。
とはいっても,電子商取引の要はWebサイト。そして日本人にとってはやはり正しい日本語対応が欠かせません。


ヨーロッパの日本食品専門オンラインストアー

 社名 所在地
Webサイト
支払い方法 注記
Japan Center London, UK
Webサイト
PayPal
EC-Card
Credit-Card
欧州随一の広告とおり豊富な品揃え,説明も詳しく分かりやすい。ただ,UK外の在住者にとっては送料や配送日数などがややデメリット。しかし,多様な配送方法の選択可,送料も居住国によって即確認できるのはここだけ。銀行振込み不可。
T.K Online Shopping London, UK
Webサイト
EC-Card
Credit-Card
Japan Center の方がきれいな商品表示の感じがしますが,日本では一般的なデザインなので好みの問題かも知れません。一見した限りでは,標準的な価格,送料。PayPal,銀行振込不可。
 大洋(Dae Yang) Düsseldorf, Germany
Webサイト
PayPal
銀行振込
請求書
使用の方法や条件は詳細に記されていますが英語とドイツ語。その他の言語(日本語)は自動翻訳機能。
請求書払いも可能なのは大きなメリット。
 松竹(Shochiku) Düsseldorf, Germany
Webサイト
PayPal
銀行振込
説明文も不足,せっかくの送料および配送に関する日本語ページへのリンクも見つけにくい。それでも日本人スタッフがいること,小売も卸も商う強みで値段調整も柔軟性が利くこと,競合他社がほとんどいないことで,伸びる可能性は大きい。
 京子(Kioko) Paris, France
Webサイト
  ヨーロッパでも最も古く,多くの大企業の欧州進出試行にも屈することなく庶民重視を貫き,日本人の嗜好を知り尽くした品揃えだけに,フランス国外への対応が寂しすぎるのが残念。
 田川(Tagawa) Bruxelle, Belgium
Webサイト
   サイトはきれいだがショップとしては商品群の概要が掴めない感じ。例えば味噌のカテゴリーには何もない。未完成なのか分からないが,日本語もないし日本人顧客は対象になっていない感じ。
 Daisuki Rakuten Kelsterbach, Germany
Webサイト
PayPal
EC/CreditCard
銀行振込
請求書
日本語による説明なし
 酒井商店 Hamburg, Germany
Webサイト
PayPal
銀行振込
失礼ながら古風なWebサイトからは想像できなかった,商品および日本食材に関する丁寧な説明が多くのページに見られ,長年携わっている日本人の店舗であることと信頼の証です。
 smartdeli Berlin, Germany
Webサイト
PayPal
銀行振込
商品は多くも少なくもなく必要最小限。個人経営の少量販売にもかかわらず標準価格を維持。シンプルなネット販売ページだが,それだけに迷わない。大手と競合するには小回りの利くサービスがあるかないかにかかっている。
 nishi japan shop Zurich, Switzerland
Webサイト
  商品が少ない? それとも見つからない? 注文の方法や発送の説明?
スイスでは標準的な価格でもほかの国の居住者にとってはかなり割高。
 旨来屋(Umakiya) Frankfurt, Germany
Webサイト
  E コマース機能が不足。商品群や価格は標準だが,配送ではなく配達重視の業務体系なのでフランクフルト地域外の居住者にとっては割高。またメールの送受信が必要になるので安心できる反面,時間を要するアナログ商い。
Nipponia Roma,
Italy
Webサイト
PayPal
Credit Card
銀行振込
日系の卸売り・小売業者と聞いていますが日本語はありません(イタリア語・英語のみ)。
しかし,英語ページでも英語はメニューのタイトルのみ。商品詳細はイタリア語なのでお手上げ。

  

ロンドンの圧倒的な力

ロンドンは別格です。在留邦人数はパリの2倍。短期滞在者を含めると常時10万人の日本人が居住している英国市場。幅広い年齢層で多様な職種の邦人が歴史的に長年住んでいるロンドンは,パリやデュッセルドルフなどと比較しても圧倒的な違いがあり,日本食材店にも反映されています。

見やすくきれいなモーバイル対応Webサイト,セキュリティー,ユーザビリティー,豊富な商品ラインナップなどにおいて納得したサイトはロンドンの Japan Center です。内容でいけば T.K Online Shopping も日本人にやさしい利用方法の説明が記され,商品も豊富ですが,現在のサイトでは顧客はどんどん Japan Center に移りそうな気がします。
両社に英国外の顧客がどの位いるのかは分かりません。しかし,ポンドのレートが落ちた結果,英国の商品価格は大陸諸国とあまり変わらないようになり,日本食材も例外ではありませんが,少し前までは英国の物価高が反映され,とても高い印象でした。また,配送日数も翌日着が当たり前になった最近,大陸居住者には4-5日は長く感じられました。

それならば,大陸で日本食品販売を営む純日本人経営の老舗「パリの京子さん」となってもいいはずなのですが,主な顧客であるパリ在住の日本人とフランス人にやさしい日本食品オンラインサイトになっています。フランス国外はもちろん,パリ以外の人たちの購入に対する説明が不足しているので,結局問い合わせが必要になり一回目の利用はすんなり進むとは思えません。

また,ヨーロッパ大陸内でも国内と国外の送料は大きく異なります。たとえばドイツ居住の日本人がアムステルダムやパリから購入する際は送料が国内の数倍になり,最終的には自分の居住国内のオンライン業者の方が安く,配送も早いことが多いようです。

結論

日本人の顧客を掴むなら斬新なオンライン機能を備えた「日本語」サイト

欧州諸国に住んでいる人たちがオンラインで日本食材を注文するショップを選ぶ基準ははっきりとは分かりません。
しかし,欧州諸国に長く住んでいる人たちでも,いろんな面で日本語を望んでいるのは事実のようです。

現在のところ,サイトの質,そして日本語という言語を重視すると,やはり英国の Japan Center が突出しているので,時期に独占される恐れ(?)すらあります。多くのショップサイトはひとつの商品を見ると,「もっと買え」といわんばかりに関連商品を冷たく推薦してきますが,Japan Center のサイトの商品ページでまず目につくのは商品および商品の使い方などの説明や関連情報です。
表示も写真も,綺麗,斬新,プロフェッショナル。説明も商品を買わせるためではなく,買ってもらう人のための料理のヒントなので自然なサービスのようです。発注プロセスも分かりやすく,スムースに進みます。ただ,日本語ページなのに英語が多いのが気になりますが,そこが修正されると他の追随を許さない最高の日本食材オンラインショップになるはずです。

英国のEU離脱後は大陸発のオンラインストアー?

2年後に英国が正式にEUを離脱すると英国で販売されている商品はどうなるのか? これからポンドのレートはやや下がるにしても安定するのか? 英国とEUの特別協定が制定されるのか? 国外の購入者の関税は?
素人考えでいけば,EU諸国での販売はEU諸国発の方がメリットが大きいと思います。
現在,日本人を主な対象とした「プロフェッショナルな」日本語の日本食材オンラインストアーはありません。
20万人の潜在的な顧客を十分な人数と捉えるならば,今がチャンスです。
在英国日系企業がドイツ,フランス,ベネルックス諸国に移転または新たな設立を行なう可能性もあるので,状況に応じて Japan Center や T.K Online Shopping などに移転されるとチャンスが苦難に変わる可能性ももちろんあるという条件付きです。

一般的な商品(米,醤油,米酢,唐辛子,ラーメン,とんかつソースなど)を10品ほど選んで価格を比較してみた

価格的には,T.K Online Shopping の方がわずかに安い印象ですが,Japan Center サイトの方がユーザビリティーに優れています。さらに表示媒体を問わないリスポンシブ。スマートフォンなどからの注文を視野に入れると競合他社はいないのではないでしょうか。T.K Online Shopping は更新要です。
また,両社とも,Brexit 決定後の英国ポンドのレート下落の結果か,大陸人(?)にとってももう高くありません。
それで,ロンドンの両社はこれから欧州諸国の人たちにとっての第一の選択技になる可能性もあります。英国がEUを完全に離脱した後の関税などについては分かりませんが・・・

10品だけの比較ながら,フランスの京子は高い。そしてリニューアルしたきれいなサイトのわりには,オンライン購入に関する限り,使い勝手がとても悪い。
最低価格とはいわなくても,他社と肩を並べるほどの価格体系になり,オンライン注文者にやさしいサイトになると,欧州大陸の多くの日本人が利用すると思います。

ドイツ,デュッセルドルフの「大洋」と「松竹」は商品数も多く,価格も安いので,本来ならば多くの日本人が顧客となって不思議ではないのですが,いくつかの障害もあります。
商品群が日本食材と韓国食材が混在しているので,めざす日本食品を探すのに時間を要するのです。また,説明はメーカー提供テキストのコピーペーストまたはグーグル翻訳,経営も「日本人も大事な顧客」というスタンスなので,商品を売るだけのサイト。日本人顧客との結びつきもコミュニケーションもありません。
誤解のないように言っておきますと,店舗は私もよく知っていますので,従業員の人たちは日本人も韓国人もオーナーも人柄がよく,サービス精神に富んだ良い印象の人たちです。

ベルリンの smartdeli の商品パレットと価格には良い意味で驚きました。平均的には「大洋」「松竹」と変わりません。新参の個人企業でこれほどの価格は立派。さらに日本人が家庭で日常的に欲しい商品をよく選び抜いています。使用条件に合意するボタンを押さないと商品リストが見えないのは気になります。そのような箇所の変更,そして食材の通販をもっと強調した作りになると,ネット販売は伸びるような気がします。

ブリュッセルの「田川」は立派な会社である印象は抱きますが,サイトに関する限り,私が鈍いのか,利用方法が全く分からず途中で放棄しました。ただ,欧州トップになる可能性は秘めているような気がします。

ドイツ楽天は,価格は良心的です。しかし,ドイツ語,そして商品や説明も少ないので二次的な選択技でしょうか。

フランクフルトの旨来屋さんは,日本語を読む限り良心的な印象ですので,何とか小規模でも最新のオンライン機能があれば,顧客層はフランクフルト外に広がると思います。

スイスは価格面で他国と競合できないので商売の困難さは察しますが,nishi japan shop はスイス国外で展開できるとは思えません。

ハンブルクの酒井商店は,おそらくハンブルクでは強い信頼を得ていると思います。通販に関しては何ともいえませんが,ハンブルク外の人たちにとっては,日本語がメリット,価格はややデメリットという感じでしょうか。

イタリア,ローマの Nipponia は,価格はドイツよりも少し高いだけですので,日本食材が手に入りにくい南欧では貴重な気がしますが,ローマ外,イタリア外の人にとっては他の大きな食材専門通販の方が便利で安いと思います。

英国を除いた西欧・東欧の在留邦人は約20万人。日本食材を通販するには十分なのか,少なくて割りに合わないのか,私は分かりません。
しかし,英国のEU離脱によって,英国発の商品に関税がかかるようになると英国の日本食材通販は価格,配送日数ともに問題になります。
日本食品に関する限り,欧州大陸でビジネスを確立している人,企業はまだ誰もいない,という意外な発見でした。