ドイツ連邦軍と難民の二重生活者がテロ犯罪の計画?

ドイツ連邦軍の再構築?

vonderleyen「ドイツ連邦軍は改革が必要」という主張に辿りついたフォン・デア・ライエン防衛大臣。少数の兵隊に対する軍内でのモビング(いじめ)の日常性が主要メディアでも新たに取り上げられ始めた矢先,下記に述べるフランコAの信じられない事件が起きました。軍隊は世界中どこでも多少は似ていると思いますが,17万8千人を擁するドイツ連邦軍の内部の実情はあまり公表されることはなくても,極右思想の若者はかなり多いのではないかという思いは一般の多くの人たちにあるようです。

ドイツの徴兵制度は廃止されたわけではないのですが,2011年以降は,国家危機の非常事態を除き強制的な徴兵は実施しない法規が制定されたので,若者の自由意志による職業軍になっているのがドイツ連邦軍です。
徴兵がなくなったことにより,ドイツ軍に属し母国に貢献するという意思を持った兵士が増えたという意見がある一方,多様な人間性と頭脳を持った混成団体の良さが崩れると共に若者のレベルも落ちたという批評もあります。
違憲の極右政党として連邦裁判所に提訴されながらも禁止に至らなかったNPD発行の新聞購読者が多いのもドイツ軍。
しかし,一体どれほどのドイツ軍の若者が極右思想を持ち,どれほどの危険性があるのでしょうか。主要メディアや連邦軍内部の人間による発言の「0.2パーセント」を信じるとすると,ドイツ社会で占める極右思想の人たちと同じ割合のようです。
今回の事件発覚後,フォン・デア・ライエン防衛大臣が述べた,軍内の指導力不足と管理不行き届きに対する指摘が的を得ているのか,そのような批判は,危険の中で規律を遵守し,愛国心とモティベーションに溢れたほとんどの兵士に対する侮辱,という意見が正しいのかは分かりません。
しかし,1970年代以降,連邦軍内の極右思想による問題はたびたび発生しながらも,今回のようなテロの計画はなかったことを考えると,ことの重大性は事実です。その間,軍内部をさらに調査した結果,フランコAの共謀者がまたひとり見つかり,拘留されています。
ここまで書いてアップロードした翌日,フランコAと共に詳細なテロを計画していた共謀者が,さらにひとり見つかった様子。連邦軍内の犯罪的な極右の存在と,これまでの放置の責任は逃れようがありません。

ドイツ連邦軍と難民の二重生活者がテロ犯罪の計画

soldier shepard w640ドイツ連邦軍の士官の肩書きまで有するフランコAがテロ犯罪の準備をしていたとして共謀者の大学生と共に連邦刑事局に逮捕された。
ドイツ検事局が甚大な犯罪の準備をしている疑惑でフランコAの調査を始めたのは2月17日だという。
いったい何が起こったのか?

ことの始めはウィーン空港。今年の1月末,トイレの空調の保守をしていた作業員が銃弾が入ったピストルを配管の中に発見,警察に通報した。ピストルを検査した後,ウィーン警察は,ピストルを隠した者は取りに帰ってくると睨み,待つことにした。
そして果たして,取りに来たドイツ人を拘留してみるとドイツ軍の士官だという。ピストルはウィーンで偶然見つけたという供述だっだが,空港検査を通り抜けることができないためにトイレにピストルを隠したと警察側は断定し,ドイツ刑事局に指紋を送る。指紋検査の結果,本人の確定はできたけれども,ドイツ軍士官ではなくシリアの難民だった。

正確には,シリア難民を装ったドイツ軍の兵士。
2015年末,フランコAはバイエルン州でアリアス・ダヴィッド・ベンジャミンという名で難民として申請。アラブ語はできず,片言のフランス語だったが,1988年に果物商人の息子としてダマスカスで生まれたキリスト教徒ということで難民審査に合格,月々の生活費400ユーロを支給され,共同住居の1室も与えられた。
アラブ語を一言も話せない人物を調べる方法として,シリアにいたころの状況を尋ねることもなく難民として簡単に認めて身分証明証が発行されたことに驚くけれども,ニースのテロの時期にはドイツに毎日1万人以上の難民が流れ込んでいたので,深い審査をすることは不可能だったというのが当局の説明。

それにしても,その後,難民住居から当時駐留していたアルザス地方(フランス)まで毎日国境を越えて通っていたというから驚く・・・誰からも疑われることもなく。

なんのための二重生活?

二重生活の理由が確定できない中,ドイツ連邦刑事局は,ウィーンから彼が極右主義者である可能性が強い情報を取得した段階で,2月17日から捜査に踏み切る。彼の周囲の電話やインターネットの監視を続けた結果,右翼思想だけではなく共謀者と共に大規模なテロを計画し,実行犯人をシリア難民に仕立て上げようとしていた疑惑が強くなった。
共謀者と思われるマティアスFの住居から,銃弾,手榴弾,そして多少の爆薬が発見されたものの,フランコAは慎重な振る舞いと沈黙を続け,ドイツ軍基地でも彼の不穏な行動に気づいた者はいない。

wehrpass w640ドイツ軍の中に過激的な右翼主義者が結構いることは度々問題になっているけれども,ドイツ軍は,兵士と難民の2種類の身分証明を正式に有し,1年以上も二重生活を続けていた状況に気づかなかった説明を強いられる。と同時に,これまでイスラム主義者に向けられていたテロ疑惑の偏見についても考え直さなければならない。

いずれにしても,ウィーン空港の作業員が見つけた偶然の発見がなければ,このような「ありえないような危険な状況」も視野に入れなければならない現実について,ドイツ国民もドイツ政府も考えることはなかったかも知れない。
奇しくも,ちょうど昨日,デメジェール国務大臣が求めてきた,危険人物へのGPS電子足環装着の法案が成立したけれども,左翼や緑の党などからも反対も続いているドイツ。
ベルリンのクリスマス市で起こったテロにしても,軽犯罪で幾度も逮捕され,複数の身分証明を有していた実行者の危険性ははっきりしていたけれども,拘留も国外追放も,そしてGPS電子足環装着も行われなかった。