45 2018

FIFAを中心とする巨大なサッカービジネスの水面下での汚い取引のニュースが出ては消える中,さらに莫大な利益を生み出すために,ブンデスリーガとは別に欧州のエリート16チームから成るスーパーリーグの設立の計画が進められていた。

スーパーリーグの設立のニュースが流れると「ブンデスリーグを離れる意思はない」としていたバイエルン・ミュンヘンだったが,実際にはバイエルン・ミュンヘンは正式にブンデスリーガを離れる方法について2016年から弁護士と話し合っていた。

スーパーリーグは,勝ち抜いたベストチームが選ばれるのではなく,「強く,人気選手が居て,且つ最も金になる」ヨーロッパのチームをサッカー界のドンと大スポンサーが指定する形。
各チームに現収入の数倍を約束する代わりに多くの条件も課し,ヨーロッパの7-11チームにリクルート交渉が裏で進められている。

現時点では,ドイツのバイエルン・ミュンヘン,ボルシア・ドルトムンドのほか,Juventus Turin,Real Madrid,Barcelona,Manchester United,Arsenal London,AC Milan などが大きな候補。

2021年の欧州スーパーリーグ結成の舞台裏

 

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サッカー界の強欲な人たち

各チームの収入は5億ユーロ以上,年間1億ユーロの増収が見込まれるため,エリートだけのスーパーリーグに移転するメリットは大。
因みに,前回のチャンピオンズリーグの勝者,レアル・マドリッドの本シーズンの稼ぎは8千万ユーロ。

シュピーゲル誌は2016年に Whistleblower から得た情報を基に調べ続け,最終的に欧州のメディア15社および80名以上の記者に説明会を開き,確認してもらった結果「スーパーリーグの真実」を徐々に公開する。
シュピーゲル誌が得た文書には,欧州スーパーリーグの設立にあたり,2021年よりナショナルリーグおよびチャンピオンズリーグには参加しない旨,自らを "Founder" と呼ぶ設立団体がUEFAを脅している記載も。
因みに,メール交信を含む膨大(約8000万文書)なデータが流れ出たことを知った団体は,1 Whistleblower を探し当てるためにプロに依頼していることもあり,彼は自分の素性や国籍を一切明かさず,居住地も連絡先も常に変えている。

実際にエリートチームから構成された欧州スーパーリーグが発足すると,放映はスカイなどのPAY TVを介する有料のみとなるだけではなく,地方の活力を生み出し,欧州市民の間ではワールドカップよりも人気のあるチャンピオンズリーグの存在も危うくなる。
また,存在は続けられても,ブンデスリーガ第二リーグのような形になり,有名無実,収入も人気も大きく低下する可能性は大きい。

しかし,何よりも,庶民のスポーツとして,生活水準を問わず,ようやく老若男女の幅広い層に支えられ始めていたサッカーが,金を生む純粋事業になることで失うものは限りなく大きい。

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