10年遅れで欧州にやって来たゲームボーイ

mario w64080年代の初めごろだったか,ドイツ,そしてフランスのテレビで大々的に流されている任天堂ゲームのコマーシャルを見たとき,「止めてくれ」と,内心非常に頭に来たのを覚えています。
ここはヨーロッパ。都会の街中でも,パチンコ屋のガチャガチャはもちろん,どこかからいつも流れてくるスピーカーの騒音もない成熟した社会。ヨーロッパの子どもたちは,屋内にこもらず,自然の中で走り回り,健康的な生活を送っている。なぜか,その頃はそう信じていました。
と同時に,日本在住の友人から聞いた「うちの子がゲームに夢中になって,だんだん学校をサボり始めた,困ったなぁ」というのが,気にかかっていたときでもありました。知り合ったフランス人夫婦は,韓国人の女の子と男の子を養子にしていたのですが,男の子のほうが毎晩明け方までテレビを見るようになり,結局不登校になったというのも聞いていました。

人生で最も大切な時期を奪い取る任天堂

gameplaying children w640それらが脳裏から離れず,日本企業の金儲け目当てのゲームでヨーロッパの子どもたちまで白痴化してくれるな,という憤慨があったのです。
その後,フランクフルトの任天堂にはいくどかお世話になっているので批判は心苦しいのですが,ゲームやスマートフォンの弊害について語ると,パリ在住の友人は「そないいうけど,テレビで日本一億総白痴化と騒がれながら,日本人はみんな白痴になったか?」とキョトンとして言うのです。
改めて見回してみると,ゲームの弊害に対する非難は,少なくとも一般の人たちからは確かに聞こえて来ない。ましてや,任天堂の Wii が大人気になると,日本人の誇りとさえ思い始めた自分の変わりようです。欲しがる子どもたちに買ってあげることはできませんでしたが,妥協案で求めた "Nintendo DS" を数人が手にして,同時に遊びながらの楽しそうな笑い声を聞くと,それほど目くじらを立てることもないか。もはや電子ゲーム2世代目は,レジャーとしてのゲームと共に生きる方法が自然に身体に染み付いているんだ,とさえ考えるようになりました。

そして今,アメリカの数日遅れで,ポケモン旋風。もう憤慨もせず,白痴化の再来とも思いません。

プログラム提供元: CComment