Death to stock photography Wake Up 4近,会話の中で「ドイツは優等生ではなくて普通の国で,ドイツ人も並みの人間なんだから・・・」というような表現が自分の口から度々出て来るようになりました。

普段のニュースの中でも,ドイツのことが話題になると,「ドイツは優れた国」と評価する人がいるかも思えば,ドイツの政策や社会を非難する声も結構高いと思われるからです。勿論,しっかりと考察した意見ならばどちらでも傾聴するに値するのですが,浅いノリで叫ぶドイツの是非は聞くのも疲れるし,ちょっと待ってくれと言いたいのです。
ドイツやドイツ人に限りませんが,国や人を語るとき,良きにしろ悪しきにしろ,結構多くの偏見が伴っています。

どこの国に関する評価でも同様ですが,他の国々と比較してから言って欲しいのです。
知らないのであれば,少し調べるか考えを巡らせてから。

とは言ってもささいなことながら歴然とした違いや,日本人やアジア人にとってドイツや欧米の国々から学べる点に気づくこともあります。

キーワードは「欧米人は大人」でしょうか。

「ドイツで住民登録したらようこそと歓迎された。日本とのあまりの違いに面食らった」

ネットで偶然見つけたコラムです。これを書かれた辛淑玉さんという方は世界中の多くの人たちと交流もあり,頭の優れた方だと察しますが,そういう人でも「驚いた」を超えてドイツで「面食らった」わけです。
筆者自身,自分のため他人のためなど,ドイツの住民登録課には10回ほど行ったことがあり,この方と全く同じ経験と印象を持ったことも幾度かあります。「面食らった」のではなく,心地良い印象でしたが。
これは確かに,ささいなことですが,日本人が苦手とする「大人のホスピタリティー」です。
日本は,声高々に,自分たちの「おもてなし」の質の高さを強調するあまり,海外の「おもてなし」は不足していると考える傾向がありますが,欧米人のホスピタリティーやホスト役は相手を包み込む寛大さがあるのです。

また同コラム内で次のような記述もありました。

1967年にユン氏が西ドイツでKCIAに拉致された際、西ドイツ政府は国交を断絶するとまで言って尹氏を奪還したことを聞いた。そこには多くの芸術家や市民たちの力もあった。日本とドイツの、この違いは何なのかと思った。

ドイツは法治国家

といえば,日本だって立派な法治国家だ,と反論されると思いますが,辛淑玉さんが不安になるような状況はドイツよりも日本の方が起こりやすいでしょう。
ちょうど先日も確かベトナムで指名手配を受けている人がベルリンで誘拐され,ドイツがベトナムに厳しく抗議した事件がありました。やはり,これも指名手配者の犯罪の有無が問題ではなく,ドイツ国内におけるドイツの法治遵守の当然の行動といえます。

とはいえ,基本的人権や法治国家の下での人間の権利によって振り回され,悪用されているのではと思うことも度々あります。
好例は難民問題です。滞在拒否された難民は強制送還の令を受けても抗議する権利があるので,判決を不満とする抗議書を提出すると審査期間の滞在は容認され,生活費も支給されます。1-2年後に改めて拒否されても,場合によってはさらなる抗議も可能です。これも法で保護された人権です。

また,経費という意味では,マフィアまがいの仲介者による欧州諸国への逃亡の旅は危険も多く,双方に多大な費用と労力を要するので,それなら航空運賃を負担してまとめてドイツに運んだ方が最終的には安く且つ効果的ではないか,という議論も生まれるわけです。そして万が一拒否された難民にもまだ法治国家内での人権を使う手が残っているとなると・・・
積極的に帰国してくれる人には14000ユーロ(約200万円)の奨励金も出されます。国の物価次第では2000万円ほどの価値があるかもしれません。
法治国家の基本を頑なに遵守する形に多少の弊害があっても," Es geht ums Prinzip ! ",ドイツでよく聞かれる決まり文句です。

 

プログラム提供元: CComment