adolf hitler 390796 640ナチス党員が買わされた,という見方もありますが・・・。

そして,政権を取った1933年から出版数は急増し,1944年までに1千万部以上を売り上げました。

国民に半強制的に配布したから,という考え方もできますが・・・。

家庭に一冊「我が闘争」

「必ず読みなさいって渡されたのよ」,当時10代だったドイツ人女性が語ってくれたことがあります。本当に読んだのかどうか,まだ家にあるのか,聞き忘れました。

16ヶ国語に翻訳された「我が闘争」はドイツでは各家庭に配布され,特に新婚夫婦には戸籍役場でセレモニー的に贈呈されたそうです。

ドイツメディアによると,実際のところ,ドイツ国民にはほとんど読まれていなかったといいます。文章能力の不足だけではなく,構成もバラバラなので理解が困難だったことに加え,苦しい生活が続く中,ほとんどのドイツ国民にとっては読書どころではなかったというのも読まれなかった理由だろうと云います。

しかし読んだ人たちは,ユダヤ人に対する憎悪溢れる描写に,来る惨事を予感したかも,とも云います。

注釈付きで発売される「我が闘争」改訂版

2015年末を以って著作権が切れてからの「我が闘争」の処置については以前から議論されていたようです。これまでは,刑法典に反する扇動的書籍として,バイエルン州財務省が発行を禁止して来ました。刑法典に反することには違いなくても,専門家の注釈付きという条件でバイエルン州法務省から発行許可が最終的に出され,ほぼ3年間を費やして詳しい注釈が加えられた1948ページの改訂版がまず4000部発行されることになったようです。注釈は,ドイツ語の基本的な間違いから,引用された人物の説明,事実と異なる箇所の説明,法に反する箇所,隠された欺瞞など,詳細かつ専門的だとのこと。59ユーロ

注)出版元の現代史研究所 "Instituts für Zeitgeschichte"(IfZ)によるとすでに計15000の予約注文が入っているとのこと。従って,オンラインを含むどこの書店でも今は入手不可だと思われます。第二版は1月18日発売予定。

書籍販売会社の反応

出版はされても書店での「我が闘争」の取扱いはさまざま。玄関に山積みにして大売上を狙う書店はゼロ,いろいろな思惑があるとしても,この本で儲けるのは道徳に反するというのは共通した認識だと思います。ドイツ書籍販売組合によると,大型書店やチェーン店のほとんどが注文のみの販売を行い,展示も広告も行ってはいないとのこと。

企業としてはドイツ,ヨーロッパで何かと悪名高いアマゾンはすでに,「我が闘争」の販売利益をすべて寄付することを発表しています。タリア(Thalia)書店は,展示なし,注文も本当に欲しい旨明示した人のみ受け付ける,と厳しい。フーゲンドゥーベル(Hugendubel)書店は,基本的にはどのような本の注文も受け付ける,「我が闘争」の店内販売については未定とのこと。

各界のコメント

ユダヤ人中央評議会会長,J. シュスター

厳しい批評が詳しく記された注釈によって,これまで伝説的に崇められたような風もあった本の内容が明らかになると思うので出版を評価する。近年,新たに増えてきた極右が宣伝に利用することも考えられるし,現在PEGIDAがアピールしているような言動も我が闘争の内容に似ていたりするが,だからこそ正しく向き合うことが大事。学校でも討論される教材になるかも知れない。

ミヒャエル・ゴルバチョフ

ドイツ人の立場としては,もっとじっくりと熟慮したいところ。個人的には出版は望まないし,必要性もないと思う。

ロシア外務省人権弁務官

ヨーロッパ諸国で広がりつつあるナショナリズムに対する対策としては不思議な方法。世界のファシズムの不吉な予感。ロシアでは極右思想に関連した書籍販売は禁止されている。ナチス関連の書籍と共に「我が闘争」も含まれ,これからも変わることはない。

ロシア人権運動家

これからロシアにも書籍「我が闘争」が入って来ると思うが,購入する人が多いとは思えない。2700万人という1国で最大の犠牲者を出したロシアは,5月9日をファシズムに勝利した祝日として軍パレードと共に祝っている。

プログラム提供元: CComment