jamaica koalition w640年の夏を過ぎた頃から急にドイツのオンラインニュースを読まなくなりました。どのメディアを見ても,内閣組成に向けた連日の打診会合(Sondierung)が延々と続く状況,またそれだけを刻々と報道するニュースの内容に,もう愛想が尽きたのです。

ニュースもトークショーも政治ばかり,政治はそんなに大事なのか,それとも大多数の日常の関心は政治にあるからメディアも政治で溢れるのか理解に苦しむ,などという疑問を挟んで無知扱いされた経験はたくさんあります。
なので,2017年のドイツ総選挙後から延々と続いている,泥沼にはまったかのような政治家のエゴ劇についても誰にも語らず,ひとりで嘆いていただけです。

ドイツが世界に誇れる「最も質の高い」国であるとは思いませんが,民主主義や経済の崩壊は心配していないので,ドイツ政府の政策はいつでもどうでもドイツ人が決めた方向に進めばいいと考え,真剣に考えたことも調べたこともありません。

勝つか負けるかで全てが決まる「力の戦い」の政界については,当然の原理として異議を挟む余地はないかも知れませんが,今回は,政治の難しさよりも,政治家の人間性のレベルについて改めて考えざるを得ませんでした。
一体,尽くす,世のため人のために尽くす,という信念を持って政治に従事している政治家はいるのでしょうか。もしいるとしたら自治体レベルぐらいで,最高でも市長職までではないでしょうか。それ以上に昇るとなると,力・金・コネ,そして口(饒舌さ)の戦いに強いだけの人間しか出世できない,出世しない世界を再認識させられた感じです。
そんな人たちばかりがいる連邦議会だけど,他の多くの国々よりもまし,と言ったらドイツに失礼でしょうか。

シュレーダー元首相は,政権が交代するとさっさと政界を去り,ロシアの大ガス会社の取締役に就きました。地位を利用して北海,北極周辺の環境を保護するために働きかけるのか,一生保証の多大な年金だけでは足らず,さらなる金と権力が欲しいのか,知る由はありません。

緑の党の結成から貢献したヨシュカー・フィッシャーは連立政権で外務大臣まで出世。辞めた後はすぐにアメリカの大学の客員教授の職。帰国後も緑の党の会には出て来ないので,党員なのかどうかも分かりません。外務大臣まで出世した人間が再び普通レベルの党員に戻れるか,というプライドのような臭いもします。

メルケル首相が再立候補を表明したときは驚きました。メルケル首相には一目置いていただけに,「やっぱりあなたもか」という感じです。自分がコールの下にいた頃を忘れたのでしょうか。日ごろはメディアニュースを簡単にめくっているだけですが,メルケル首相の時代に次の時代を担う若い政治家が育てられているような記事は一度も目にしたことはありません。
育てることもせず,他にいないから,私しかいないから,という態度には「世のため人のため」はなく,権力保持にしか感じません。

groko bz berlin w600そうこうする内に,急にSPDとの大連立政権が決まったニュースが流れてきました。政界の権力争いとはこんなものなのか不思議に思うのは僕だけなのか。結局,なんだかんだ言っても,欧州議会を離れながら,ドイツ連邦首相のポストを得られなかったマーティン・シュルツは「私が外務大臣になるなら大連立政権を認めるよ」とでも,言ったのではないか,勘ぐりたいところです。

多くの国々に注目されているドイツ。トップのシニアたちが,世界に模範を示すべく,良きリーダー国になろうとすることも大事かも知れないけれど,政界だけではなくドイツには若いトップが少なすぎる。はっきりとは分からないけれども,連邦議会の議員にしても,大企業の取締役にしても40代から出世しているのに,自分たちがトップになると若者を押さえ込んでいるという雰囲気だ。
ドイツの国会議員は副業を持つことが許されているので,収入は十分あるにもかかわらず,高給アルバイトに精を出す議員が多いのは問題です。というのは,一方で「やること,調べることは山ほどあるから週末も自宅で働いている」という真面目な議員の声も聞くからです。

高速インターネットだ,ディジタル世界だ,何もかもつながるネットワーク世界だ,IoTでリードするドイツ,などと,右も左も,老若男女も,掛け声だけは同じだけれども,僕も含むシニア世代がまだ認識していないことがある。
本当はハードだけではなく,ソフトも大きく変わっているのです。
ソフトとは是非の判断に大きく影響する,21世紀世代の価値基準。

新たなドイツ政権が明日からスタートする。
可能ならば,落ち着いたら,メルケルさんは辞めて,それと共に数十人規模の40代の国会議員がイニシアチブを取れる状況になってくれたら嬉しい。
世のため人のために尽くす政治家が大勢を占めるドイツ国会は数十年後でも遅くない。

プログラム提供元: CComment