欧州メディアが伝える終戦70周年談話とヒロシマ

安倍首相のスピーチ
ドイツ・オーストリアのメディアから

ドイツ・メディアの報道

ドイツのテレビ局(ZDF)ではコメントも何もなく約1分間,戦後70年に関する安倍首相の談話があったこと,中国・韓国からは不満の声が上がり,しかしオバマ大統領からは良き評価を得たことを説明していました。オンラインニュースでも第一ページに掲載されていたのは数誌のみで,天皇陛下や一般市民の声などはゼロ,すべて第二次世界大戦に関する安倍首相の見解に焦点が当てられていました。

abe spiegel

日本の終戦記念日: 直接的な謝罪を避ける安倍首相

安倍晋三首相は,第二次世界大戦中の日本の責任に対して「深い悔恨」の念として表現したが,中国および韓国は遺憾の表現は不十分と受け止めた。

Spiegel Online

 abe euronews

70年後: 戦争犠牲者に対して新たな謝罪は行わない日本

終戦70周年記念にあたり,日本の安倍晋三首相は戦争の犠牲を受けた国々に対して,慣例に従った謝罪の言葉は控えた。それに代わり,日本は過去の日本の軍事的な行動に対して,悔恨の情を大きく示した。

Euro News

abe faz

謝罪の言葉 - しかし,残る不信感

日本の安倍晋三首相は,終戦記念日のスピーチにおいて,近隣諸国に不快感を与えることに非常に気を使いながらも,国家主義的な考えを正当化する表現も用いた。

Frankfurter Allgemeine

 


Hiroshima & Nagasaki

今年は戦後70年ということもあり,例年よりも多くの第二次世界大戦に関するニュースやドキュメンタリーがドイツのテレビ局から放映されていました。
今のドイツ人は,いわゆる68年世代以降の人たちは(つまりほとんどの世代)原子力に対してほぼ本能的に拒否反応を示します。
それで,「唯一の原爆体験国である日本がなぜあんなに多くの原子力発電所を?」という理解に苦しむ疑問に基づいたコメントはフクシマの事故以前から度々耳にしていました。
大小の差はあれ,広島の(原爆投下の)ニュースはどのテレビ局からも流されていましたが,重大ニュースというよりも背景の事実を今一度確認したいという感じにみえました。

8月6日は各放送局がニュースでまず1945年8月6日の広島の空に上がるキノコ雲と被爆者の惨状を映し出していました。ただ,それに続く関連ルポの焦点が放送局によって異なっていたのでご紹介したいと思います。

ドイツ第二放送(ZDF)
日本人の若い女性。被爆者の子どもだということで,社会関係,結婚相手,付き合いなど,数々の場で彼女が受けて来た差別的な「静かな仕打ち」についてポツポツと語り,涙がほおにちょっと見えたと思ったら,ズームアウトして豊かな街を背景にした大きなガラス窓と広いオフィスが映し出されて終わります。

オーストリア放送(ORF)
専門家による「ウラン,プルトニウムの2種類があったから両方落とす必要があった。核分裂反応を起こす別の元素の爆弾が開発されていたら3ヶ所に落としただろう」というコメントの後,フクシマの事故の様子が映し出され,原子力発電の再開を行い始めている日本という言葉で終わります。

スイス放送(SRF)
同じくフクシマの事故,そして同じく日本の原子力発電の再開と反対デモの様子,最後に安部政権の右翼寄りのアブナサのコメントで締めていました。

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「原子爆弾の投下によって戦争は終結し,双方にさらなる犠牲者を出すことに終止符を打った」というアメリカの世論に対しては,そのまま述べるだけに留めています。

ヨーロッパのいくつかのニュースを聞いている限り,加害者アメリカ,被害者日本,という構図は薄く,怪物原子力爆弾の消滅,最終処分の限りなき困難さで頭を悩まし続けている原子力発電のソフトランディングに向けた意識を高めるひとつの良い機会が「ヒロシマ」だと主張しているように聞こえます。
反して日本の世論は,気のせいか焦点がいまだに加害者・被害者に向けられている気がしますがどうでしょうか。