日本食レストランで起業

 

ドイツで日本食レストランを開店する(3)

chef 1 m海外の日本食レストランの昔と今,そして将来

海外の日本食ブームとかトレンド寿司とかいわれて久しいですが,ときどきにしろ一般の人(までが?)日本食を食するようになったのはごく最近の傾向です。2-30年ほど前までは,すし,てんぷら,すきやきなど,どこの日本食レストランでも和食を代表する同じメニュー。そして,値段の高さ故に,客層はビジネスマンやリッチな日本人旅行者がほとんどだったと思います。海外に住む多くの日本人は,現地の食よりも,中華かイタリアンを好むようですが,和食の外食というのは日本人でも一般人にとっては高嶺の花だったのです。

そのような日本食レストランが計画に沿った利益を上げていたのかどうかについては分かりません。ただ,数少ない欧州諸国内の日本食レストランでも,形態としては,最初の世代はいくつかの企業経営を除くと,板前オーナーとして日本を出てきた人たち。次の世代は,それらのレストランで長年働いた後に独立した人たちが多いと思います。その頃は(今でもそうかも知れませんが)日本食レストランの経営者が日本から優秀な板前さんを呼びたくてもなかなか来てくれない。和食を志す,能力ある板前さんは海外に出たら技術が伸びないので「優秀な和食職人は日本を出ない」「海外の板前さんが作る料理も(日本だったら)二流」とは度々耳にする言葉でした。

それがあれよあれよという間に大きな展開を遂げた感じです。板さんの9割は中卒だった時代が変わり,調理人という職業が「何か手に職をつける」という特別な職業ではなく,明るく,自由に,ファッショナブルに,さらにトレンドセッターにもなって社会の地位を獲得したことが後押ししたような気がします。

家庭でもレストランでも,料理の質が向上し,調理も伝承の方法にとらわれない自由な空気が当たり前になったことは素晴らしいことだと思います。これは,欧米や日本で共通している傾向です。日本食レストランに関していえば,昔は,ひとりの調理人が,すし,てんぷら,すきやき,味噌汁などを,それなりに出していれば,「故郷を遠く離れた場所で日本にいるような食事ができた,これなら多少高くても・・・」と喜んでくれた一定の客でもっていた商売の時代は終わったともいえるのです。

日本食レストランに行くドイツ人・行かないドイツ人

日本人やアジア人と比較すると,外食という行為をほとんどしないのが一般のドイツ人でした。近年ドイツの外食数はやや増えているようですが,まだまだといった感じです。日本食となると遠い文化の国料理で,欧米料理とはさらに異なる。さらにさらに日本製製品は知っているけれどもそれ以上の知識はもたない多くのドイツ人にとって日本食は全く関心外だったと思います。南欧諸国でバカンスを過ごすようになって,徐々にニンニクやオリーブ油の味付けなどにも抵抗が少なくなってきた。それに伴い,日本食レストランのドイツ人といえば,取引先の日本人に招待されて(連れられて)行く人たちか,日本を知っている極々少数のインテリ(か変わり者)だった状況も変わってきた過渡期かも知れません。

最近は,海外での日本食の人気が話題となっているようですが,個人的にはまだ非常に偏っている人気だと思います。ドイツで知り合うドイツ人の中では,知り合いや友人が日本人だったり,日本に行ったことがある人が多いので,日本食に愛着を持っているのは当然なのです。日本食を一回も食べたことがない人,機会があっても食べる気などない人,一度食べてもう二度と食べる気はない人をたくさん知っています。もちろん彼らは,遠慮する理由をやんわりと返しますが・・・
ですから,「日本食は人気がある」と思うよりも,「まだまだ一般の人たちは近づいてこないので,浸透させる方法や好まれる料理を考えていかなければならない」という姿勢の方がいいと思います。

ところで,多くのドイツ人家庭の夕食は基本的に朝食と同じ,パンとハム・チーズのみです。普通のドイツ食堂や食事もできる飲み屋などに行くと,「冷たい食事」か「温かい食事」か訊かれます。つまり,外食でも夕食は,パンとハム・チーズのみの人たちがとても多いことがわかります。

glass apple wh300フランスなどではレストランで飲み物だけを注文すると追い出されますが,ドイツではレストランでも通常は飲み物だけでも構いません。それで,夕食時なのに,食堂で食事をしているのは半分ぐらいしかいないということになります。イタリアでも一般の人たちが行く食堂で,正式な夕食をとっているのは外国人観光客だけ,周りを見渡すと地元の人たちが食べているのはピツァのみというのもよくある光景です。また,南欧諸国の夕食は早くても午後7時,そしてせっかくの外食はゆっくりととる客が多いと,テーブルは一晩に一回転しかしないこともよくあるようです。
反面,ドイツ人を含み,ヨーロッパ人はレストランではほぼ必ず飲み物を注文します。本来は,水道水という無料の飲み物を頼んでもいいのですが,レストラン側も「執拗に頼まれない限り,出してやるものか」という態度,客側も「せっかくの外食なんだから」という雰囲気に呑まれて高い飲み物を注文してしまうのです。酒飲みにとってはレストランでのお酒は必須ですから,タダ水・タダ緑茶の日本の食堂よりもはるかに売上が上がることになります。
50セント以下のソフトドリンクに3ユーロ以上の値段をつけるのは一般的,ワインなどは最低でも市販の3倍以上の値段といわれます。
ドイツで日本食レストランのオーナーとして起業する人たちは,ドイツ人の慣習と好みなどに旨く応えながら,売上につなげてください。

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プログラム提供元: CComment