ウイルス拡散防止の自粛はもうたくさんだ

ーロッパでは,英国を除く多くの国々の状況はやや落ち着き,改善に向かい始めているような傾向がみられます。しかし,これを機に専門家を含む多くの人々がそれぞれ異なった意見を強く主張するようになり,ドイツでもこれまでは政府の方針を支持していた8割近くの人たちが別の見解を持ち始め,極端な事例にしろ,ソーシャルディスタンスも無視したマスク未着用での千人規模のデモ集会もいくつかの都市で起こるようになりました。

 

堪忍袋の緒が切れ始めたコロナウイルス感染対策

it w640ロックダウンの解除方法を模索する中,これまでも議論されていた,対処方法を考える上での基準の違いが明白になり,当初は模範国とも思われていたドイツも大きく揺れています。

「欲しがりません(ウイルスに)勝つまでは」のような考えはほぼ皆無。
しかし,人命最優先論から,もう十分行ったから後はもう運命に任せばいい論まで実にさまざま。そこに,「このウイルスは本当か?」の陰謀論まで散乱し始め,罰金を伴う指令ならば従うほかなかった人々も「理性にまかせた自粛」となると,「ほな,私の理性で自由にさせてもらいます」の人々が一挙に町に出始めた感じです。

企業も一般市民も,明確な考えはなくても「経済的な我慢はこの程度まで」と感じていたのかもしれません。それに加え,ヨーロッパ人にとって最も幸福な季節とバカンス時期が近づいてきたので,外への要望の気持ちも強まり始めているのは間違いないでしょう。

毎日10億ユーロともいわれる経済負担。これ以上続くともう破産しかない,という個人や中小企業も多いことは現実のようです。また,ロベルト・コッホ研究所をはじめ,ドイツ政府が当初より述べているように,ドイツ国民の6-7割が感染して耐性を持つまではウイルスは収まらないのならば,その流れに任せばいいじゃないか,という考えが多いことも納得はできます。
その際に考えるポイントは,ベッドや集中治療室などのハード面,高齢者や呼吸器官の障害の持ち主などを振り分ける差別(区別)意識,片や救える人はひとりでも救うべきという人道や倫理ですが,いずれにしても自由や経済の負担を伴います。

一月ほど前に英国が「流れに任せる」傾向にあったころ,ドイツでは「悪くない方法かもしれないけれども倫理に反する」という理性論が大勢だったような気がします。
蓋を開けてみると死者数はそれほどでもなく,ほとんどは高齢者や持病持ち。そこで,「それじゃぁ,そのようなリスク人間を予め隔離して安全を計ればいい」という意見が増えるわけです。
口を滑らせたのかどうか定かではありませんが,以前から経済活動の停止には反対していたテュービンゲン市長などは「どうせ半年後には亡くなる人が運悪くコロナ感染して少し早く死んでも何が・・」と発言して,さすがにあんまりだと猛反発を受け,緑の党からの離党も要求されています。

 

ところで,新型コロナウイルスへの感染が疑われたら,まず電話で医師に問い合わせることになっています。
しかし,新型コロナウイルスは風邪・インフルエンザと症状がとても似ているので区別がつきません。

新型コロナウイルスに特異な症状(WHO)

・発熱
・乾いた咳
・異常な疲労感
・頭痛・関節痛
・悪寒
・鼻水
・下痢
・呼吸困難(人による)
・のどの痛み(人による)
・吐き気(人による)

症状の特徴的な違い

症状 新型コロナウイルス 普通の風邪 インフルエンザ
発熱  多い  稀  多い
倦怠感  ときどき  ときどき  多い
 多い(乾いた咳)  少ない  多い
くしゃみ  なし  多い  なし
関節痛  ときどき  多い  多い
鼻水  稀  多い  ときどき
喉の痛み  ときどき  多い  ときどき
下痢  稀  なし  ときどき(子供)
頭痛  ときどき  稀  多い
息切れ  ときどき  なし  なし

 

どのようなときに電話をすべきなのでしょうか。

今年ドイツでこれまでにインフルエンザという解析結果が出た例は13350件,内32名が死亡しています。
新型コロナウイルスの検査を遂行できる数は12000/日なので,以上の症状が出ても希望するすべての人の検査を行うことはできません。

ドイツ保健省によると次のような指示が出されています。

症状があるないにかかわらず最寄りの保健所に電話すべき人

・新型コロナ感染が確認された人と過去14日以内に接触した人

その他の注意事項

・ロベルト・コッホ研究所が指定した危険地域に居た人は,症状があるないにかかわらず不要な接触を避け,可能ならば外出を控える。
・呼吸器系の障害の症状が発生した場合は,通常の風邪に対する処置を行った上で家庭医に電話をして,過去数週間以内に旅行・滞在していた地域についても通知する。
・新型コロナウイルスが発生した地域にいたけれども,当地域は危険地域には指定されていない場合は,発熱・咳・呼吸困難などの症状が帰宅後14日以内の発生したならば診察を受けると共に他人との接触および外出を避ける。

ロベルト・コッホ研究所が欧州内で危険を伴うリスク地域として指定しているのは,オーストリアのイタリア語圏である南チロル地方から,ミラノやヴェローナがあるロンバルディア地方とベニス近辺,そしてトスカーナを含むボローニャやサンマリノ周辺までの北イタリア地方です。
よって,ミラノやトリーノの商業圏,トスカーナやベニスなどの観光圏などが大きな影響を受けていることになります。

また,危険地域には指定されていなくても,RKI は日本やNRW州にも警告を出しています。

新型コロナウイルスが疑われる場合のホットライン

1)家庭医
2)116 117(家庭医に連絡がつかない場合)
3)0800 011 77 22(一般患者の診察インフォメーション)
4)115(官庁代表番号)
5)030 346 465 100(連邦保健省代表)

電話でOK,医師の診断書

欠勤届けに必要な医師の診断書は,通常は家庭医・一般医を訪れ,医院から直接発行してもらう必要がありましたが,軽い呼吸器官の障害がある人は,3月10日から4週間に限り,医師を訪れることなく電話で行えるようになります。これにより,個人医の負担を減らしたい考えです。7日間を最大として診断書の発行を要望できます。
呼吸器官の重度の障害および新型コロナウイルスが疑われる場合は,電話で症状を説明した上で診察が必要になります。

インフォメーション

ロベルト・コッホ研究所(RKI)
ドイツ連邦保健省
在独日本大使館・各総領事館

家庭に欠かせない消毒剤?

医療機関をはじめ多くの場所で消毒液をみかけるようになり,今回の新型コロナウイルスで商品棚から洗浄液・殺菌・消毒剤が売り切れ始めていますが,保健省や専門機関は一般家庭では消毒剤は不要と説明しています。
また,殺菌,バクテリアに強い,などの記載があるからといって効果が高いわけではなく,一般家庭では標準的な洗浄剤を用いて基本的な注意を怠らなければ十分とのことです。

家庭においても消毒剤が推奨されるのは,家族に感染者が出た場合です。

ロベルト・コッホ研究所は効力のある化学消毒剤のリストを発表しています。
RKI-Liste
商店で求める場合は,"begrenzt viruzid", "begrenzt viruzid PLUS" または "viruzid" などの記載がある消毒剤が推奨されています。