スカンジナビア諸国は時代の先取りをしているだけではなく,なぜかいろいろな面で手本を示しています。男女平等は当たり前,ジェンダーや第三の性を早々と認めたのも北欧諸国。資源に恵まれた裕福な地域というイメージと共に,環境保護においても一般市民が非常に積極的です。
中でもスウェーデンは2006年にすでに欧州諸国内で最も少ないCO2排出国となっていますが,にもかかわらず,„Flygskam“ 運動が続けられています。「飛ぶことは恥だ」という意味の „Flygskam“ は2018年の流行語大賞にも選ばれています。


airplane w250h150石油の燃焼によって大量の排ガスを出す航空機は環境に大きな害を及ぼしていることは明らかなのですが,肉よりも自然食品を選び,自動車よりも自転車や鉄道を利用する環境保護者たちも長距離移動の飛行機からはなかなか離れられないようです。多くの有名人や政治家が飛行機を利用することを避け始めていますが,中でも元バイアスロン・チャンピオンのビョルン・フェリー(Björn Ferry)が,全行程1万3千キロに及ぶ欧州諸国内の移動をフェリーや列車で行い「飛行機利用の拒否」をアピールした結果,賛同したさらに多くの人たちが „Flygskam“ 運動に参加するようになりました。

広い広いスウェーデン。夜行列車の利用者が過去2年間で増え続けているため,スウェーデン鉄道は夜間列車を含む運行数を増加したそうです。

また,スウェーデンの家庭ゴミで最終廃棄物処理場まで運ばれるのは1パーセント以下(ドイツは15%)。生ゴミの堆肥利用やプラスチック包装の拒否から始まり,分別されて段階的に減ったゴミも多くは再生処理されるという,とんでもない優等生なのです。一般市民の高い環境意識が隅々まで行き渡って,初めて実現できる結果です。
再生処理できないゴミは50%ほどあるそうですが,燃焼させたエネルギーによる火力発電で80万世帯が冬季の暖房を得ています。
さらに,年間70万トンの廃棄物を近隣諸国から受け入れ,処理しています。人口の違いがあるとはいえ,日本やドイツが自国の廃棄物を輸出して処理を他国に任せているのは恥ずかしい限りです。

20世紀初頭に,欧州初の公園も含む,29ヶ所の国立公園が指定されて自然環境の保護に努めてきたスウェーデン。それでも,第二次大戦後の工業の発展により自然が脅かされてきたため,ストックホルムで1972年に開催された世界環境会議でスウェーデンは世界の環境保護に向けて指導的な役割を果たし始めます。
スウェーデンでは戦後生まれは幼いころから,家庭や学校で環境保護の大切さを当然のこととして学んでいるため,「スウェーデン人はみんな環境教の宗徒」とさえ揶揄する人もいるほどです。

にもかかわらず,15才のひとりの女の子が「環境保護を訴える授業参加ストライキ」の看板を持って,スウェーデン国会の前に座り込んだのが2018年の8月。12才のころからスウェーデンや世界の自然を憂えるようになったというグレタちゃんです。数日後に別の女の子2人と先生1人が加わり,その後の急速な発展は世界に広く伝わり,先日の欧州議会選挙でもヨーロッパ中の "Fridays For Future" は大きな影響を与えました。

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