大型クルーズ船と海上で過ごす観光はますます人気が高くなり,ドイツの造船業も下火から立ち直るほどの好景気のようです。
テレビでドイツ女性が話していました。
「余生を海辺で過ごせることを楽しみにしていたのに,窓を閉めなきゃならないほど空気が汚いんですよ」
海はきれいでも,窓から見える景観をすっぽり埋めているのは大型クルーズ船。今朝窓を拭いたばっかりなのに「ほら,こんなにもう汚いでしょ」と改めて拭いた布の汚れをカメラに見せる女性。

 

cruise emission 1大型クルーズ船が海辺を通るとき,専門家が大気の汚染度を計器で測定してみると,ドイツの都市で車の進入禁止になる汚染度の3倍もあることが分かりました。
大型クルーズ船から数百メートル離れた岸辺の空気です。
空気のきれいな海辺での年金生活を楽しみにしていたドイツ人のご婦人も気の毒ですが,このように巨大な観光船は,世界の自然のパラダイスも廻っています。大型クルーズ船が撒き散らすのは大気汚染だけではなく,海洋,そしてパラダイスに住んでいる人たちや動植物の環境および健康に害を及ぼしているのは間違いありません。
それでも,金を落としてくれる観光業を不承不承受け入れているのです。

個人的に人に勧めたい「死ぬ前に見ておくべき3都市」は,イスタンブール,ニューヨーク,そしてベニスです。と,長年信じていたのですが,だんだん定かではなくなって来ました。
10年ほど前に,やっと「自分だけではなく」家族にも感激してもらいたく憧れのベニスに行ったのですが,あの巨大なクルーズ船が狭いベニス湾に入って来る様子は,威容ではなく異様というか,かなりグロテスクでした。
地元のベニス人から歓迎されていないのは明らかであるにもかかわらず,船のデッキから手を振ったり,ビデオ撮影に忙しい,ハッピーな表情の群集。
少し離れた海上に停泊して小船でベニス観光に赴く方法も十分可能なはずです。
このようななりふり構わぬ大型クルーズの行動は,高い場所からの俯瞰の眺望という特権的な観光のためとしか思えません。


プログラム提供元: CComment