それでもオリンピック

遠い東の国で起こっているウイルス感染と思っていたら,あっという間にヨーロッパを襲い,いまだに正体も行方も掴みどころのないCOVID-19。
「十分な注意は怠らず,でもパニックは不要」などと,やや落ち着いた風だったドイツも数週間の間にひとりから数千人に増え,現在,人が集まるありとあらゆる施設が閉まっています。

にもかかわらず,イタリアで現在も戦い続けている複数のウイルス学者から,「ドイツも1日でも早く徹底的な手を打たないとイタリアのようになりますよ」と警告を受けています。

フランスのマクロン首相も「なぜ多くの人たちは真剣に考えず,危険が迫っていることを認識してくれないのだろうか」と心を募らせています。

大きな暴動や餓死のような悲惨なニュースは,イタリアやスペインでもまだ聞かれないものの,ついにアフリカにも入ってしまったウイルス被害の準備を進めるアフリカ諸国の知識人たちの悩みはさらに多岐にわたります。
ヨーロッパや日本と異なり,「手をよく洗いなさい」といわれても,貴重な水や石鹸を自由に使えない場所も多い。見えないウイルスの怖さを説明して納得してもらうのも大変。外出せずに家に留まるようにいわれても,経済的な援助など望むべくもない国々では,1週間も働かないと家族崩壊につながるのも大げさではありません。

多くのウイルス専門家の意見は,詳細部分で異なる箇所はありますが,早ければ今年の秋ぐらいにワクチンが出てきたとしても,減ったり増えたりを繰り返しながら,最終的な収まりを見せるまで2年ぐらい要するだろうというのは一致しているようです。

国際的な大きなイベントも軒並み中止または延期を発表しています。
そのような中,ひとつの大イベントの開催に固執している国もあります。
インターネットなどでのニュースしか知りませんが,「オリンピックは中止(延期)しよう」という声が日本から全く聞こえてこないのはとても不思議です。

日本はそれほど犠牲者や感染者は増えていないので,確かに,確率は低くても,1〜2ヶ月で収まらないとも限りません。そしてオリンピック委員会も認めたら,一気に頑張るであろうことも想像できます。そして無事に成功したら,日本も,日本人も,メディアもお祝いムードの中,誇りも輝くでしょう。

しかし世界では,その頃,まだまだ,とてつもない多くの人々の,ウイルスとの戦いが続けられていることでしょう。ヨーロッパや日本のように,医療政策,衛生,食料などの面で恵まれた環境にない多くの国々です。
そのような状況での開催となったら,リスク地域に指定された国々の選手たちは日本に入国禁止,または数週間前に来て医療施設に入ってください,といわれるかもしれません。

もし,日本が近々ウイルス感染を防ぐことを達成したら,それは誇れることだと思います。
そのとき,日本の安全が確保されたからもうおしまいになるのでしょうか,それとも,世界からすべてのウイルスが一掃されるまで,今度は私たちのノウハウ,技術,薬剤を世界の人たちに与える番だ,と考えるのでしょうか。

日本がウイルスに打ち勝ち,その後世界に目を向けてくれたら,そのとき,はじめて「オリンピックもできなかった,経済も低落した」,でも世界中の人たちの健康に貢献した,と大きな誇りを持てるはずです。
海外に生きるぼくらにも大きな名誉になることは間違いありません。

追記)

そういう中,アスリートなど海外からの批判も見聞きするようになりました。
これから個人的な意見ではなく,海外の団体やメディアなどからの(開催固執に対する)批判の声が高まり,負ける形で延期または中止が決定されることになると,日本の評価も下がり,さらに顔がつぶれることになると思うのですが。

プログラム提供元: CComment