ドイツのメディア


newspaperドイツのマスメディア
Deutsche Massenmedien

イツは連邦国家のため,メディア,文化,教育制度などにおいて州ごとに多少の違いがあります。特に,戦後,英国のBBCを手本に新たな放送が始まったテレビ・ラジオ放送においてはドイツの地方の特色が大きく表れています。

報道・言論の自由に対しては,ドイツ基本法(憲法)で保護され,世界的にも高い水準にあります。ドイツに限らず,社会・政治に対するマスメディアの影響は非常に大きいですが,特にドイツでは過去100年の内に,民主主義体制,第一次世界大戦,ワイマール共和国,第三帝国,第二次世界大戦,東西ドイツ,東欧との鉄のカーテン,学生運動,ドイツ統一などを短い間隔で経験して来たので,マスメディアの使命・自由を尊重すると共に,国が行うべきメディアの暴走・偏重に対する管理の重要性への認識も高いようです。

新聞や雑誌などは約500年の歴史を有しています。ドイツ日刊紙の3大全国新聞は,Frankfurter Allgemeine Zeitung,Süddeutsche Zeitung,Die Zeit です。しかし,発行部数から見ると,Bild Zeitung および類似した新聞の方が数倍も多いといいます。スポーツ・セックス・スキャンダルが売れるのは何処も同じです。
地方新聞は2014年現在335紙。日刊新聞の総数は約350紙で総発行部数は約2500万です。インターネットの普及の煽りを受け,印刷媒体の新聞・雑誌は世界的に苦難に立たされていますが,ドイツも例外ではなく,リーマンショックと若い層の活字媒体離れを受け,2009年以降急激に削減されました。現在では年齢を問わず,約70%の人たちがオンラインでニュースを読んでいます。

ニュース週刊誌で最も高い発行部数を有しているのは,Stern,Der Spiegel です。発行者では,Heinrich-Bauer-Verlag,der Axel-Springer-Verlag,Burda,Gruner+Jahr (Bertelsmann) です。特に,アクセル・シュプリンガーとベアテルスマンは,新聞・雑誌だけではなく,テレビ・ラジオの放送でも大きな成功を収めています。少数のメディアの独占により,言論操作の危険性が指摘されていましたが,最近はネットでの自由な討論が活発になり,独占メディアの危険性に対する議論はやや弱まった感じです。

より多くの人々に訴える強い力を持っているのは,今でもテレビとラジオです。ラジオ放送(1920年代開始),テレビ放送(1950年代開始)共に公共放送(ARD/ZDF)のみでしたが,1980年代末から民間放送が許可されて以来,多くの放送局が誕生し,現在では430局がドイツ全土でラジオ番組を放送しています(多くは小さな地方放送局)。


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