Geld und Banken
お金と銀行


iphone cards w640銀行と普通口座の開設

ドイツの銀行システム

金融機関は多様な業務を提供しますが,ドイツではユニバーサルバンクが定着し,ドイツ全土にある約1900の銀行の95%がユニバーサルバンクに該当する銀行です。
大きく分けると,貯蓄銀行(Sparkasse),協同組合銀行(Genossenschaftsbanken),そして民間銀行(Privatbanken)に分類されます。

これらの銀行の支店をすべて合わせるとドイツ全国に約32000店ありますが,3分の2は貯蓄銀行と協同組合銀行で締められています。また,どの銀行も支店だけではなく従業員も減らし続けており,同時にインターネット銀行が増えているのが現状です。

普通口座

ドイツ生活を始める日本人に限らず,市民が利用している最も一般的な口座は普通口座(Girokonto)ですが,ドイツ人は基本的にはどこの銀行でも普通口座を開設する権利を有し,2017年からは銀行がドイツ国籍を有する市民の口座開設の希望を拒否することは禁じられています。
ホームレスの人でも,(実際に住んでいなくても)住所さえあれば,普通口座を開設することができます。銀行口座を持たないと職が見つからない,職がないと口座を開設できないという悪循環を断ち切る意味もありますが,給与,納税,社会保障費,家賃,光熱費などを口座を介したオンラインで行うことにより,金の流れの透明化を進める効果を目指しているので,ドイツ全住民が銀行口座を持っていることが必要なのです。

普通口座を開設する銀行の選び方

ipad bank w640まず,支店の窓口で職員と直接コミュニケーションを取る従来の銀行の形と,銀行職員と直接接することが全く出来ないオンライン銀行の2つの分けることができます。
オンライン銀行(Onlinebank)は,ダイレクト銀行(Direktbank)またはインターネット銀行とも呼ばれます。もちろん一般の貯蓄銀行も民間銀行もオンラインでほとんどの業務を提供していますが,「人が全くいない」というのが違いになります。

多くのドイツ人は現金を好み(信用し),カード利用度が北欧諸国と比較して非常に低いと云われますが,2016年度はドイツでは54%(欧州諸国の平均は49%)の現金取引がオンラインで行われています。

当初,安全性が疑われていたダイレクト銀行もインターネットの普及と共に顧客を増やしていますが,最も大きい理由は,人材費の節約で利用料金が低いことが挙げられます。そして開設も簡単にできるため,ダイレクト銀行の口座を含み,複数の銀行口座を持つ人たちも増えています。

atm spardabank 640ドイツ国内の主な営業所銀行

Sparkassen
VR-Banken
Deutsche Bank
Postbank
Commerzbank
PSD-Banken

主なダイレクト銀行

DKB Bank
Comdirect
ING-DiBa
Consorsbank
1822direkt
Wüstenrot Direct

Finanztip が推奨する普通口座の銀行

Comdirect
Norisbank
DKB-Cash Girokonto

普通銀行口座の所有にかかる費用

基本料金(Kontoführungsgebühren)

銀行利用の年間の基本料金とも云えますが,月々(定期的に)銀行口座に入る金額に応じて基本料金を下げる銀行あり,基本料金ゼロを謳いながら,他の手数料で稼ぐ方法を取る銀行あり,とさまざまです。
何もしなくても徴収される月々の料金は,銀行によって2ユーロから10ユーロ,その他の料金を含め20ユーロ/月も例外ではありません。

クレジットカード/ジロカードの年間基本料金(Jahresgebühren für die Kreditkarte/Girocard)

クレジットカード料金は銀行間で違いはほとんどありませんが,(銀行にとっては)確実な収入源なので,「クレジットカードはお持ちですか? 別にお作りしましょうか」と必ず勧められます。ジロカード(Girocard: 従来のEC-Card)は通常は無料で作成され,利用コストもかかりませんが,料金を徴収する銀行もあります。
また,家族用のクレジットカードやジロカードが必要な際,無償で作成する銀行,費用が発生する銀行があります。

振込み手数料(Überweisungsgebühr)

一般的にはドイツ国内の銀行振込みには手数料は発生しませんが,日本など海外との取引,特に為替取引,また従来のように振込み用紙などを利用(窓口・郵送)すると手数料が多くの場合発生します。

現金引出し料金(Abhebegebühren)

これまではATM利用においては現金引出し料金はどの銀行でも完全に無料でしたが,銀行の利回りがほぼゼロになったため,自社のATMでも一回ごとの現金引出し料金が徴収される銀行も出ています。

為替取引料金(Fremdwährungsgebühren)

マネー・ロンダリングを防ぐために,EU諸国では数年前から,為替取引や現金振込みは基本的には所有口座を介してのみ許可されていますので,多くの為替取引を行う人はこの費用も要考慮です。

貸利息(Sollzinsen)

預金額に利息はつきませんが,口座がマイナスになった場合,口座額が再びプラスになるまで利子を支払います。借り越金(Dispositionskredit)が許される金額は口座開設のときに決められますが,開設後に相談することもできます。ただ,借り越金の利子は銀行によって大きな差がありますので(2016年現在,9.91-14%/年),度々する(と思う)人にとっては重要な要素です。貸利息以外の手数料を徴収することは銀行には許されていません。
借り越金は一時的なマイナス口座となっているので,一定期間に渡り借り越が続くような場合は,銀行と相談して,一定期間・一定金額の融資を受けたほうが通常は最終的に安くあがります。

ATM利用と現金引出し

atm keypad w640都市に住み,就労場所と自宅の往復がほとんどの人にとってはあまり関係ないかも知れませんが,小さな町や田舎に住んでいる人,ダイレクト銀行のみの利用者にとってはATMの存在および手数料はとても重要な要素です。同銀行または提携銀行ではないATMを利用すると,一回の現金引出しに最低でも3.5ユーロ,最大4.8ユーロの手数料がかかります。ドイツで最もポピュラーな,市民銀行ともいえるシュパーカッセでも,各都市の銀行が独立しているので,他都市のシュパーカッセのATMを利用すると手数料が発生します。

銀行カードを知ろう

credit card w640以前までは,ドイツのデビッドカードは EC-Karteとして,そして別にクレジットカードをひとつ,それで多くの人たちは2枚の銀行カードを使い分けているのが普通でした。
(恐らく)2017年からは新しいECカードの発行は廃止されていますので,以前のECカードはすべてGirocard に徐々に変わっていくと思われます。
普通預金口座の意味を持つ,お持ちの Girocard には,Maestro か V-Pay,または両方のマークが付いているはずです。
多くの銀行はクレジット会社と提携していますので,Maestro はマスター会社 V-Pay はVISA会社がカード決済を行います。ですから,ドイツ国外に出てもヨーロッパの多くの国々ではクレジットカードではなく,Girocard (EC-Card) でドイツ国内同様に使用することができます。クレジットカードとの違いは,大きな金額の買い物はできないことと,使用と同時に銀行口座から引かれることです。

カードの中には,Girocard として使用される場合とクレジットカード使用の場合を見分けて処理するプログラムが組み込まれています。
ATMから現金を引き出す際は,所有銀行または提携銀行の場合は手数料無料,他の銀行のATMの場合は有料ですので,まず手数料を必ず見ましょう。すべてのATMに手数料を記載することが義務付けられています。
欧州のドイツ国外の場合も同様です。

Maestro(マスターカード)はほぼ全世界で使用できますが,V-Pay は欧州外では使用できないことがありますので,海外にでかけるときはチェックが必要です。
また,インターネットでは Girocard をクレジットカードの代わりに使用することはできません。

万が一,紛失したカードが他人によって使用された場合は最大150ユーロまで自己負担になります。
いずれにしても,カードを紛失した,と思って,身の回りを探して見つからなかったら迷わずカードの使用停止の通知をお勧めします。
共通番号: 116 116

普通預金口座(Girokonto)の開設方法(日本人の場合)

girocard w400h500最寄の支店に行くか,電話で普通預金口座の開設希望を伝え,予約をとります。

必要なもの

● 身分証明書(パスポート)
● 住民票
● 滞在許可証
● 労働許可証(就労者の場合)
- 18才以下の場合は保護者の了解書類
- 給与証明書(口座がマイナスになった際の借り越金を希望する場合)

ダイレクト銀行はインターネットまたは電話を通して情報を確認した上,オンラインで行います。
オンライン銀行でも開設や問い合わせなど,提携銀行を通して行える銀行もあります(comdirect のCommerzbank など)。

通常は普通口座は即開設され利用できます。ジロカード(Girocard)およびオンライン用のPIN,そして振込みなどのオンライン取引用のTANが別々に郵送されてきます。
ただ,銀行によっては,オンライン回線(インターネット)とは別に端末機を要することもあります(通常は無償)。

注)普通口座開設を希望する人に対して銀行は拒否することはできない,と書きましたが,ドイツ国籍の保有者が対象で,日本人を含む一時的滞在の外国人は対象外なので,場合よっては拒否あるいは審査に日数を要することもあります。特に渡独してまもない人は断られる可能性が高いようです。
また,外国人の場合は新たな開設では借り越不可が条件になることが多いようです。
ですから,毎月給料が振り込まれる就労者においても借り越金が設けられない場合は,交渉するか,別銀行を当たってみる方法を考慮しても良いと思います。
また,ほとんどの銀行では,学生(留学生・研修生)用に割安条件が用意されています。


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