マリファナ(Cannabis)


マリファナを解禁する大筋がドイツ議会で認可された。

骨子は,18才以上の成年の,私用に限った,最大20-30グラムまでの購入,保有,および私的・公的な場所での喫煙などによる使用の合法化。
許可を持たない一般人の栽培は2-3本に限って許可。

新たな認可制度を作り,栽培や販売は許可制となる。
EU委員会の出方によっては,ドイツだけの合法化はできない可能性もある。

しかし,反対者や危惧する声も高く,薬局団体なども異議を申し立てているにもかかわらず,なぜ解禁されるのだろうか。
ラウターバッハ保健相は,特に若者の健康をまもるためだという。

近年,未成年を含むマリファナ喫煙者は増え続け,栽培や販売などのルートを巡り,犯罪組織が絡むと共に,ブラックマーケットは大繁盛だという現実もある。

また,保守的な政治家は,オランダのように,マリファナを喫煙するためのドラッグ観光客がドイツにやって来ると心配している。
隣りの国,オランダはリベラルな国として有名。マリファナ喫煙や購入のためにオランダを往復する人たちも絶えず,オランダ国境に近いアウトバーンでは警察とのイタチゴッコが繰り返されている。

ならば,他のヨーロッパ諸国ではマリファナなどのドラッグにどのように対応しているのだろうか。

イタリア

イタリアではドイツと類似した形でのマリファナ合法化への議論が進められていたが最終的な決定には至っていなかった。
そんななか,メローニ新首相はマリファナの合法化は認めない立場だ。

スペイン

スペインでは,マリファナの使用を認める方向で進んでいるが,医療・治療目的に限り,一般での許可は認めない方針。

オランダ

オランダでは,マリファナなどのソフトドラッグの使用は,合法化というより,妥協案としてコーヒーショップ内に限った販売・喫煙がで1976年から許可されている。
正確には,18才以上の成年は1日最大5グラムまでコーヒーショップで購入・使用できる。一般人のマリファナの栽培および販売は禁止。コーヒーショップもデリヴァリーを行うことはできない。

フランス

マリファナの合法化は全く検討されていない。
治療目的の使用においても,重症患者のみに限った許可について検討するために試験を実行中。

オーストリア

連立政権の緑の党が,マリファナ合法化に向けた議論を提案したが,保守党,社会党,共に「社会を間違った方向に進める」として完全に拒否しているので,マリファナ合法化の可能性はゼロに近い。

スイス

ソフトドラッグの規制を徐々に弱めつつあるスイス。医療用のマリファナ使用については今年の8月に解禁。専門医師から処方箋を得た上で使用できる。嗜好目的での使用は現在テスト中。マリファナ含有のテトラヒドロカンナビノールが1%未満ならば麻薬法に抵触しないため,もともと合法的に販売・購入できる。

チェコ

基本的には,栽培,販売,購入,使用など,すべて禁止されているが,少量ならば違法として対応を警察もとらないので,寛容的ともいえる。
税金の大きな増収もあり,完全な合法化に向けた実験が現在行われている。

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