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Gasumlage

eu gas w640ウクライナ戦争およびロシアからのガス供給緊迫と値上げに伴い,ガス分担金(Gasumlage)という言葉がドイツのニュースで頻繁に出て来るようになりました。

分かるようではっきり分からないGasumlageとは。

要は,来る冬季の暖房に必須なガスの必要量を,高価格でも手に入れるために国民に分担金として負ってもらおう,ということです。

自由経済なので,必要なモノの供給量が減少してくると価格が上がります。
しかし,価格が上がっても欲しいモノはあり,特に資源は経済維持に欠かせません。

なかでも,ガス・電気は全製造業および一般生活に必須なので,ドイツ政府,ハーベック経済相はウクライナ戦争の勃発とNordstream 2の停止以来,ガス・石油の入手のために世界中を廻っているわけです。

特にドイツには,日本と同様,資源がほとんど無いので,絶対必要量は高価でも購入する以外に方法はありません。

しかし,金は出すから欲しい,といっても実際に購入するのは輸入会社。
ロシアとドイツで事業を営んでいる,世界でもトップクラスの電力会社,ドイツ最大のガス輸入会社に属するUniperが危機に陥ったため,ドイツのガス・電気を確保するために,ハーベック経済相はドイツ政府が大株主になって企業を救済することを主張していたのです。

ドイツ政府が何割の株式を購入するのか(筆者は)知りませんが,約300億ユーロといわれています。
この購入額を含めてのガス負担金だと思われます。

しかし,国民や企業への負担は重過ぎるため,国の借金額を上げることを野党や緑の党は支持しているのですが,リントナー蔵相は反対,Gasumlageにも賛成というわけではなく,ガス代の消費税をゼロにする代案を出したところ,EUから拒否されています。

いずれにしても,自由経済だとはいえ,10%に迫るインフレ率に加え,予想されるガス・電気の高騰は尋常ではないので,どういう形で,金をひねり出すか,借金,税金,我慢を請う負担金などの公平な比率に対する考え方の多様な違いでもめ続けているのが現状。

今年2022年の年末に完全停止予定の原発を数ヶ月延ばす可能性を示したハーベック首相は叩かれ,環境保全計画や石炭利用の延長に対して「Friday For Future」は久方ぶりの大規模なデモを行いました。
ウクライナ(人)への援助金ももう控えるべき,という声も左党のヴァーゲンクヒト女史などから出されています。

とりあえず,就労者への300ユーロのエネルギー補助金は決まったものの,負担金・補助金の議論はまだまだ続きます。

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