庶民料理は屋台に限る


sea 1 W600H450乏旅行だから美味しいグルメ料理などどうせ高嶺の花,と諦めていませんか。
ポルトガルなら南端のAlgarve地方がいいと言うのでFaroまで列車で行った。初春だというのに、駅を降りると真夏のような暑さと強烈な陽の光に目がくらんだ。海に向かって歩く。
おおっ! 素晴らしい海岸,砂浜,海に浮かぶ絶壁の孤島,いうことなしの景観だ。ただ,店舗が並ぶ道に入ったら観光客も結構多かった。それよりも,趣味の悪い土産物屋やドイツのソーセージ屋などが並び,ドイツ人や英国人の観光客が大きな声を出しながらぞろぞろ歩いている。急に大幻滅を味わうことになり,あんまりなので,そのまま駅に引き返すことにした。

portugal seaside W550W350 1そして次の列車に乗って北上した。海沿いに走り,いくつかの駅を抜け,また海岸の街に列車が停まった。何となくぶらっと降り立って,とりあえず飛び込みで宿を探したら,運良く,小さながらもバルコニー付きで海が望める安宿が見つかったので数日泊まることにした。
南欧らしく,白い漆喰のファサード。まだ休暇時期が始まらない,季節外れの2月だったので空室があり,値段も安かったのかもしれない。
また,さすがポルトガル。天気さえ良ければポカポカと暖かい。
旅程に余裕があるけど懐は寂しければシーズンオフの旅行がやっぱりいい。

散歩に出たら屋根付きの広いホールに結構多くの市が立っていた。ホテル暮らしでは食事を作ることなどできないので食材を買っても仕様がないしと思いながら,入ることを躊躇していたら,入り口でぷ〜んといい匂いがしてきた。ぼくは多くの日本人と比べると魚好きとはとても言えないけれども,なぜか,二十年以上経っても懐かしく,今でも匂ってくるような瞬間だった。

fish 640 3アンチョビほど小さくはないけれども小柄なイワシをドラム缶のような深い圧鍋で揚げている。ただ揚げた魚だけで,パンも付いてこないけれどもレモンをかけてくれた。こんな旨い揚げ魚は初めて,と思うほどの感激だ。安い,実に安いのも気に入った。英国のフィッシュアンドチップスなども美味しいけれども,あれは白身が多いのが取柄で,全体的には油を染み込みすぎているような気がする。

市の周りには結構たくさんの人がいるのに,10分ほどイワシを食している間,不思議なことに客は誰も来ず,ほとんど誰も興味を示していない風だった。
ひょっとすると,ポルトガルではあまりに当たり前すぎて,どこの家でもいつでも食べられる安料理なのかもしれない。

ドイツならば焼きソーセージに値するような感じだ。
ドイツに限らないけれども,美味しい焼きソーセージ屋を見分けるコツは,やはりどんどん売れている店だ。客が多いから旨いはずだ,というよりも,ソーセージは多くを焼くと,鉄板やグリルだけではなく,炭火の場合は炭火にも油味が垂れ落ちるので,そのモクモクとした味がソーセージにしっかりと染み込む。それで,大量に仕入れた安い市販のソーセージでも結構旨い。

特に多くの油を使う安料理屋や屋台は本当は少しリスクもある。中華も同じ。油はめったに変えず,汚い部分だけすくい取るので,流行らない店ほど古い油を使い続け,(お腹をこわす)リスクはさらに高くなる。

 

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