行過ぎたサッカー熱狂,もうワールドカップは見ない
サッカーファンとまではいかないけれど,ドイツのローカルチーム,特にチャンピオンリーグなどのテレビ中継があると楽しんでいたプロサッカー。
言い古されているかもしれないけれど,サッカーというのはボールひとつで出来るということだけでも,実に平等なスポーツだ。
貧乏な国だろうが,専制的な国だろうが,戦争などせずに,また多少なりとも愛国心もくすぐられる。そんな健全なレジャーだから,基本的にはなんら反対する理由などない。
人類が犯した多種多様な問題が限界に達しつつある現世界のなかで
しかし,あらゆる意味で,限度というものがあるのも事実。サッカー興味なし,という人たちを除いても,この「限度」を目覚めさせてくれたのが今回のカタール開催のワールドカップと考えているのは私だけではないだろう。
すぐ隣りでは戦争が続けられ,毎日数百人が亡くなっているという。
明日にも我が家に来ないともいえない状況だ。
そんな中,回教の国,イランも燃えている。
イランの動揺の起因は女性のスカーフにあったにしろ,ここまで燃え続けている理由は,「自分の生き方は自分で決める」「人間はすべて平等に生きる権利がある」と長年思い続けていた人たちが意外に多かったというイラン国民の目覚めに違いない。
地球温暖化による悪影響を認める人たちは確実に増えている。
しかし,無条件で即手術をしなければ明日は地球沈没というFriday For Future派から,あまり痛みを伴わずに技術と金でなんとか派,まで環境に対する認識や程度は人,特に政治家によっても実にさまざま。
文化などと言っている場合じゃないと美術館・博物館に押しかける硬派まで出て来た。
金の亡者たちが根本的な原因に違いはないにしろ,環境にやさしくないディジタルネットやプラスチックを手放すことなく,物質的に豊かな消費社会に浮かれているのは我々自身なので資本主義を手放す気など,もうとうない。
とはいえ,大きな金の動きにはほぼ必ず裏工作や賄賂があることを端的に示したのもカタールのワールドカップ。
世界の流れが環境保全に向かっているのなら,金の力でPRすればいい。
地球にやさしいカタールをアピールしながら,熱帯下のスタジアムを冷房完備する超巨大なエネルギー消費。
あなたたちの言う人権とわたしたちの人権は違う,と平気でのたまうカタール。
1日12時間,休日は6ヶ月間に3日,20平米の部屋に10人の宿泊,不潔で汚い調理用コンロやトイレは数十人にひとつ。西欧なら即大問題になる,熱帯下の厳しい労働条件で命を落とした外国人労働者の数は非公表,しかし数百人は下らないといわれる。
あらゆる抗議デモは禁止,しかし外国人の同性愛者の入国はワールドカップ期間に限り,目をつぶってくれるらしい。同性愛者なしではプロサッカー界は成り立たないのはもう常識。
完全冷房のスタジアムを見渡す,王室のようなVIP用テラス。
回教が定めている人権は違う,と平気でのたまうカタール。
ガスを買うために私たちに懇願しながら,カタールの内政を非難する資格はないだろう,と反論するカタール。
金で動くFIFA(国際サッカー連盟)がカタールに金で買われたこともどうやら事実。
PRに借り出されたカタールのワールドカップ大使,ベッカムの数週間前のギャラは2-3日のロケで5000万円ほど。10年契約の額は不明。
マスメディアによるとカタールのワールドカップに要した費用は2000億ドル(約20兆円?)を超えるらしい。
個人的には,回教に問題があるとは思わないけれども,現世界の多くの大問題を起こし続けている原因が回教であることは間違いない。
資本主義社会の限度,人権保護の限度,環境保全の限度,回教の教えの限度,など限度を超してはならないという反面教師にワールドカップがなることが,カタールが行える唯一の良い点だろう。
ただ,「足るを知る」ことを忘れた人類は滅びるよ,と教えてくれるか,「金で何でも買える」ことを改めて示すのか,については定かでない。
ボイコットとはいえないけれど,これらのためにも,私はカタールのワールドカップはみない。
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