ほぼ散文


日本では,幼稚園から大学,ときには老人ホームへの入居まで試験があると聞きますが,私は全く見たこともないし,自分が当時向かい合った試験用紙など覚えていないので想像が付きません。
しかし,試験というのは,特に入学試験はなんのためにあるのだろうか,という疑問は残ります。

ご存知のようにドイツでも幼いころから年をとるにつれ,学力の差によって,振り分けられていきます。
ただ,1回の試験だけで合格,不合格が決定されることは,知っている限りありません。

学力試験というのはありますが,各生徒にどの程度の学力があるかの判断は普段の勉強を長期間みている先生の見解が極めて大きな割合を占めます。
先生の個人的な価値判断が入る危険性を指摘する声もありますが,少なくとも,「試験に受かるための勉強」は日本と比較すると皆無ではないでしょうか。

私事で恐縮ですが,私の3人の子のひとりは早生まれだったので小学校は翌年に入学してもよかったのですが(同い年の従姉妹は翌年に入学),そのまま入学。それでも親に似ず覚えが早かったようで,まもなく先生から「飛び級してもう2年生の学級に入ってもいいですよ」といわれました。
でもまぁ幼さがあるのでそれは止めましたが,しばらくは一番。しかし,年月を経るごとに落ちていきました。
そしていつのまにか普通の子になって,安堵と少々のがっくり感を覚えていた頃,理由を聞いてびっくり。
クラス内で質問はもちろん,発言することもほぼ全くなかったため,その「力」が最低だったのです。

しかし,日経オンラインに載っていた例を見て,これまたびっくり。

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問題
内容の正しいものを2つ選んで答えなさい。

ア: 一般家庭の食料品への支出額をみると今ではパンが米を上回っている。
イ: 国内で米が余るようになったため平均的な米の価格は下がり続けている。
ウ: 第二次大戦後からバブル景気の頃まで米の消費量は年々増加していた。
エ: アメリカやヨーロッパへの日本米の輸出量は年々増加傾向にある。

(慶應義塾普通部 2020年 社会 改題)
正解は、アとエです。
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何のために出されているのか個人的にはさっぱり理解できない。
これは中学校の入試問題らしいですが,こういう問題が県立高校入試に出されていたとしても私は落ちていたことは間違いありません。

ただ,「2つ選んで答えなさい」と書かれているので,どのような答えを書くのか,選択するだけなのかについては定かではありません。

したがって,「正しいと思うものを2つ選んで,その理由を述べなさい」という問題で,解答理由によっては,正しくない「もの」でも及第の点数を付ける,のであれば,賛成です。

日本の義務教育の内容はまぁ西欧とそれほど大きな違いはないと思っています。

しかし,首を傾げることはあります。教育というよりも,(自分も含み)多くの人たちの頭の奥に染み付いている日本人的論理と云えるかもしれない。わかりません。

一時帰国した折,知り合いの家を訪れると,ちょうど小学低学年の女の子が宿題をしていてお母さんは仕事をしながらときどきみていました。

問題はこんな感じだったと記憶しています。

クマさん2ひき,うさぎさん1ぴき,そしてネコが3びきいます。ぜんぶでなんびきでしょう?

テキストには動物たちの1匹ずつの大きなイラストが描いてあります。

女の子はずっと首を傾げて,なにか考えている風でした。

横からみていたお母さん
「こんな簡単なことも分からないの?」

ぼくもわからず首を傾げたけれども,なにも言わなかった。

 

 

 

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