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ドイツで日本語印刷

イツは印刷の国。グーテンベルクはもとより,日本の印刷会社でも長年標準だったハイデルベルク印刷機で知られるハイデルベルク社は160年の歴史を有する老舗です。
そんな印刷王国でも,かつては日本語の印刷は不可能でした。それで,日本からコンパクトな活版印刷盤を持って来て商売をされていた方も,わずかながらドイツの都市におられたようです。しかし,ワードプロセッサーの印刷技術の向上でドット数が上がり,さらにアウトラインフォントになって,日本語活版印刷業も終わりを告げました。

business card wh350さて最近は,OSやソフトを問わず,安価で求められるようになったレーザープリンターで高解像度のきれいな日本語が印刷できるので,家庭でもオフィスでも通常は問題ありませんが,名刺,チラシ,小冊子を大量に印刷したいときなど,プリントショップや印刷所に依頼したいこともあります。
その際,オンライン印刷は安いので利用されている人も多いと思いますが,ドイツ語という壁があっても,分かりやすく使いやすい多くの雛形が用意されているので,特に名刺などは書き込んでアップロードすれば基本的に問題はありません。
オンライン印刷用データをアップロードする際の注意点はいくつかあるのですが,ほとんどは日本で行う印刷(オンライン印刷)と同じです。
ひとつを除いて・・・
日本語の書体,フォントです。

ドイツ(ヨーロッパ)の印刷所の日本語フォント

日本の印刷所には当然ながら数多くの日本語フォントが用意されていますが,ドイツ(欧州)の印刷所やプリントショップには,アルファベットフォントは数多くある中で,日本語はアジア文字を専門に取り扱っている会社を除き,サンセリフとセリフの2種類の標準フォントしかありません。

セリフというのは明朝体のように「はらい,はね」が付いている文字,サンセリフというのはゴシック体の文字です。

印刷所では,印刷用に数種のソフトが用いられていますが,近年では Adobe セットが標準としてほとんどの印刷所でインストールされているようです。
これらは,Illustrator, PhotoShop, InDesign, Acrobat です。
中でも,DTP作業(版下データ)に使われる欧州言語版 Adobe InDesign の標準日本語フォントは,小塚ゴシック(Kozuka Gothik)と小塚明朝(Kozuka Mincho)のみです。
つまり,そのまま日本語をアップロードしただけでは,文字化けは発生しない代わり,すべての日本語文字が小塚ゴシックか小塚明朝のフォントに代わってしまうわけです。

しかし最近は,おそらく多くのドイツのオンライン印刷会社では,無償の Google Font も印刷できると思います。
日本語の Google Font はNoto-San-JP シリーズ。
サンセリフおよびセリフの太さが異なる数種のフォントがあるので重宝します。

日本でもそうかもしれませんが,基本的には印刷所は,日本語に限らず,全文字を「埋め込み」または「アウトライン化」するように推奨しています。
ただ,この作業にはソフトが必要ですし,また「埋め込み」や「アウトライン化」の意味が分からない人たちも結構いるはずです。
したがって,Adobe InDesign もなく,ワードなどの汎用ソフトで作成した日本語版下をドイツのオンライン印刷または最寄のプリントショップなどに印刷依頼する際は,Google Font の Noto-San-JP を使用されたらいいと思います。

日本語フォントは基本的に埋め込み不可

欧米言語(ラテン語アルファベット)のフォントは基本的に無料で,ほとんど問題なく「埋め込み "embed"」できるのですが,文字数の多い日本語はフォント作成にも多大な時間と金を要するため,以前よりは値下がりしたとはいえ,埋め込み可能な日本語フォントは高価で,別途購入する必要があるのです。
それで我々のような一般人には,アウトライン化が最も安全かつ安上がりな方法になります。

ところで,多くの印刷業者はPDFデータとしての提出,またはPDFも併せて添付するように記しているところが多いようです。
PDFは一般的になってきたので多くの方がご存知のように,Adobe Reader で表示する PostScript と呼ばれる,ドット数は関係ないスムースな文字表現を可能にしたフォーマットです。
そして,ワードなど,どんなソフトで作った文章やファイルでも無償で手軽にPDF化できるようになったため,日常的に使用している人も多いと思いますが,実はPDFファイルを開くデバイス(コンピューター,スマートフォーンなど)に同じフォントがインストールされていない場合は,類似する別フォントに代替されてしまうのです。
それでも構わないと思われるかもしれませんが,名刺のように小さな文字列はフォントが代わることにより,ずれてしまう恐れがあるので要注意です。

オンラインにしろ,最寄のプリントショップにしろ,ドイツの印刷所を利用する際は,上記以外の日本語フォントは代わってしまう恐れがあることは認識しておいてください。

ヨーロッパで名刺印刷

欧州の国に住んでいる方は勿論,短期滞在でも名刺が必要になることはあると思われます。
版下または下書きデータさえあれば,最寄の印刷屋,インターネットで探したオンライン印刷サービス,さらには品質を望まなければコピーショップなどでも標準的な名刺はその場で印刷できます。

欧州での名刺印刷のヒント

- 日本印刷の名刺はアルファベットも日本語フォントや欧米では非標準的なフォントが用いられていることが多いような印象です。
  欧米語表記の部分はヨーロッパで標準的なフォント使用を推奨します。
- 名刺は1ミリずれただけでも目立つので,版下・下書きデータの文字は,すべて必ずアウトライン化してください。

ヨーロッパの名刺の標準サイズ

西ヨーロッパ諸国の名刺の標準サイズは 85 x 55 mm,日本は 91 x 55 mm。また北欧,北米,中国などが多少異なります。
以下,主な国々の標準名刺サイズです(単位:ミリ,幅 x 高さ)

フランス: 85 x 55 
ドイツ: 85 x 55 
イタリア: 85 x 55 
オランダ: 85 x 55 
スペイン: 85 x 55 
英国: 85 x 55 
スイス: 85 x 55 
北欧諸国: 90 x 55 
チェコ共和国: 90 x 50 
ハンガリー: 90 x 50 
スロヴァキア: 90 x 50 

米国: 89 x 51 
カナダ: 89 x 51 
中国: 90 x 54 

日本: 91 x 55 


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