買い物・ショッピング
ネットショッピング
インターネットによって起こされたショッピング革命の煽りを受け,好調なドイツ経済にもかかわらず多くの店舗が廃業・倒産しているのはご存知の通りです。
大きな買い物で,100%の信用が得られないような場合は特に,Lastschriftverfahren(銀行口座からの自動引落とし)の利用がお勧めです。オンライン・ショッピングに限りませんが,銀行の口座から自動的に引き落とされた金額は,引き落とされた日から6週間以内に銀行に申し出ると,理由の如何を問わず,その金額は戻されます。
ですから,最近はとみに,口座の残高証明にときどき目を通すことは重要になってきています。小額でも身も知らない引き出しがあったり,お子さんのネット利用料が極端に高くなっていたりした場合など,支払額をまず戻すことができます。
注)もちろん正当な場合は,後でも支払うことには変わりありませんが。
また,インターネットで詐欺ショップに騙された場合は,契約条項ページに記されていたとしても,警察への届出を推奨します。ドイツの警察には連日,詐欺ショップの通知が届けられているようです。
ショッピングサイトの基本チェック
有名な E コマースサイトや店舗を知っているサイトなどでのオンライン・ショッピングは安心できますが,初めてのサイトや知らないサイトでは,いくらきれいにプロフェッショナルに作成されていても基本的な注意は必要です。
基本情報
- 販売者の名称,住所,メールアドレス,電話番号などの記載
- 商業登録および登録番号
- 企業の場合は正式な会社名および組織体
- 付加価値税納税番号
- 販売許可を必要とする商品の場合は管轄局の名称
商品取引に関する情報
- 一般商品取引に関する説明
- データ保護およびデータの安全性についての説明
- 商品の保証,返却などに関する説明
- 支払い条件と方法
- 送料,返却の場合の費用,その他の追加料金
- 注文のメール確認送信
オンライン・ショッピング・マーク
絶対的な安全保証ではありませんが,マークを取得しているオンライン・ショッピングの安全性が高いことは複数のテストサイトで実証されています。
いろいろなマークがありますが,次の4種類のマークの信頼性はドイツ連邦情報技術・安全省からも推奨されています。
BONICERT を除く左の 3つのマークは,上記の商品取引条件がきちんと守られていることの証明マークです。
Gewährleistung und Garantie
保証と保証?
品質保証や保証期間は,モノ・サービスを問わず,売買取引に必ず伴うことは日本でもドイツでも同様ですが,詳細においては結構違いがあります。また,あまり大したことではありませんが,Gewährleistung (Warranty) と Garantie (Guarantee)という語彙の違いも微妙です。通常はギャランティーという言葉でギャランティーシャイン(保証書)が製品に付いていますが,最近は領収書が製品保証および保証期間の役割を果たし,サービスに関してはオンライン登録を必要とする製品も増えてきました。
大きく分けると,Gewährleistung は,法的にも品質的にも製品に欠陥がないことを販売者が保証するもの,Garantie は製造元が保証するものです。ドイツの取引約款では24ヶ月間です。24ヶ月間以上の保証の場合は,販売元は大きくアピールします。また,購入者が受け入れれば,場合によっては12ヶ月まで短縮することが認められています。中古品などに多いようです。
製品にはいつも,全部品が揃っているか,損傷していないかなどについて,開梱後すぐにチェックするよう記してあります。よく起こる問題は,使用後しばらくして欠陥が発見された場合に,それが最初からあったものなのか,それとも使用中に発生したものなのか,または何か誤った使用を行ったために発生したものなのか,実証が困難なことです。
法的には,6ヶ月を越えると購入者に製品の欠陥を証明する義務が生じます。同製品で同様の欠陥例が多くない限り,一般の消費者が証明するのはほぼ無理と考えたほうがいいと思います。それで,使用が妨げられるような欠陥ではなくとも,「おかしいな」と思う程度の不具合が複数回起こるような場合は,購入後早い時期にクレームを出すことを推奨します。購入後6ヶ月以内にクレームを出した場合は,購入者の希望に応じて,無償の修理,製品交換,返品,購入価格の一部返却などから選択できます。
販売元に問題なく返品・交換ができるのは6ヶ月間(早い方がいい),欠陥が明らかな場合は24ヶ月間,そして5年保証・30年保証などの長期保証に対応しているのは製造元であることを留意しましょう。
また,欠陥品の交換や返品において,オリジナル包装やダンボールなどは不要です。勿論あるに越したことはありませんが,保存義務はありません。また,領収書がなくても銀行口座の振込みが証明できれば大丈夫です。
Umtauschen
交換
14日以内であれば無条件で返品・交換できると思われていますが,法的には定められていません。多くの店舗で記されている14日以内の返品・交換はサービスです。そのような店舗では通常,販売品の全品に適用され,バーゲン品や中古品などでは別途「返品・交換不可」と記されています。
インターネットのショップは別で,14日以内であれば,無条件で返品・交換が認められています。つまり,オンラインで買ったものは,「想像していたものとは違っていた」は勿論,「気が変わった」でも返品できるのです。ただ,オンラインではオリジナル包装の返送が必要ですが,店舗への返品では必須ではありません。
お店の買い物で「返すかも」と思ったら,購入時に店員さんに確認しましょう。
食品,化粧品,下着などはいずれにおいても返品・交換不可です。
Haustürgeschäfte
訪問販売
さすがに押し売りなどは聞いたことはありませんが,日本と同様にドイツでも,訪問や電話による詐欺同様の催促販売が増え続けて問題になっています。訪問・電話・インターネットによる売買契約は,14日以内であれば「理由を問わず」解約できることが定められています。自ら望んで出かけた諸々の契約は別ですが,訪問などでのセールスには「こんなのが欲しかった」ものでない限り,断った方が良さそうです。特に署名は避けましょう。
また,電話でのセールスは禁じられているにもかかわらず,膨大なデータを保存したコールセンターが多くありますのでいつ何で電話が来るかわかりません。ましてやドイツ語。敵も然る者で,買いませんかとは言わず,アンケート,問合せ,宝くじが当たりました,など,ありとあらゆる手口を使ってきます。
ドイツ語で(日本語もあるかも知れませんが)知らない人からかかってきた電話には,残念ながらまず疑いをかけた方が良さそうです。そしてセールスの匂いがしたら何も言わずガチャンと切るのがベストです。説明をしばらく聞いたり,意見を述べたりする人は「脈がある」と判断されて再び電話がくる可能性もあります。
「敵は」同業他社と情報を交換したり,電話会話の録音を行ったりするようですので要注意です。また,ドイツにも「おいおい詐欺」は頻発しています。
受話器のディスプレイに電話番号が表示されない電話には出ない方法もありますが,番号を出さない知り合いがいるような人はそれもできません。
いずれにしても,電話で口座番号は「絶対に」教えてはいけません。
消費者組合では次のような場合の問題に応じてくれます。
• 職場,自宅,電話,屋外などで取り交わしてしまった,納得にいかない合意
• インターネットによる売買契約
• カタログによる購入
• 手紙,メール,ファックスなどによる合意
• 招待旅行,当選チケットなど,無料サービスへの合意
とにかく,普段の自覚という予防は大事ですが,万が一起こって(合意して)しまったら,警察なり,消費者組合なり,知り合いなり,即行動をとってください。
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